高等教育研究開発推進センター廃止にかかわる声明と申入書を提出しました

 職員組合は以下の声明文と申入書を9月16日(金)に京都大学法人宛に提出いたしました。

★ 220916高等教育研究開発推進センター廃止にかかわる声明と申し入れ.pdf
https://1drv.ms/b/s!AmKvrfs6CciGjNhaLCNqqtwDixg4MA?e=IVx4kL

 同じ日、京都大学は「今後の京都大学オープンコースウェアについて」という告知を発し、オープンコースウェア(OCW)を「より質の高いものとして系統的かつ積極的に発信していく」という方針を明らかにしました。
 京都大学高等教育研究開発推進センターを廃止し、さらにセンターの担ってきた様々な事業もほとんどすべて廃するという突然の方針について学内外からの批判の声が高まってきたことへの対応と考えられます。
 批判の声に応えた点は評価すべきことではありますが、その内容は不十分です。
OCW以外の諸事業は予定通り終了とするのか、OCWを継続するとして誰がその事業を担うのか、現時点では明らかではないからです。
 OCWを存続するとしたら、ではなぜ鋭意その開発に努めてきたセンターを廃止するのかという疑問は、いっそう大きくなったとも言えます。
 センターの廃止により多くの現員スタッフが京大を辞めたり、配置転換となったりした状況において、「より質の高い」OCW発信の担い手をどのように養成するのかという点についての説明責任を果たしてもらう必要もあります、
 以上の点に鑑みて、声明文と申入書は9月16日に提出した形のままでここに公表すると同時に、声明文の趣旨にご賛同いただける学内外の皆様からのメッセージを募りたいと思います。
 下記からメッセージをお寄せください。その内容を集約して当組合のHPに掲載する、報道関係者に伝える、京都大学法人宛に追加資料として提出するなどの対応を図りたいと思います。
https://forms.gle/Ukk1jX2YEJRx3EF66
 声明文の拡散にもぜひご協力いただけましたら幸いです。


(下記、声明文・申入書のテキストです。)

高等教育研究開発推進センター廃止にかかわる声明

 京都大学法人執行部は、今年9月末日をもって高等教育研究開発推進センター(以下、センター)を廃止することを決定しました。
この決定を行った今年1月25日の役員会議事録では「高等教育研究開発推進センターの在り方に係る方向性について、企画委員会における審議結果の説明があり、審議の結果、原案通り決議した」と記しています。ですが、企画委員会における審議結果の内容については記していないほか、センターの廃止についても言及していません。
 企画委員会の審議結果を示す文書を確認しても、センターが担っていた業務のうち継続が必要なものは国際高等教育院と大学院教育支援機構に移行するという判断の結果を示すに止まり、廃止すべき理由は説明していません。しかも、教育研究組織の改廃に際しては現員スタッフの移籍先を示すことが通例であるにもかかわらず、専任教員5名を含む現員スタッフ17名の移籍先を示していません。あたかも「京都大学に愛想を尽かして他大学に職を求めてくれればよい」といわんばかりの仕打ちです。実際、専任教員以外の現員スタッフのほとんどは雇用の継続を断念して退職せざるをえませんでした。専任教員の移籍先は決まりましたが、後任補充の予定はないということです。突然の組織廃止は働く者としての権利を根底から侵害する措置であり、職員組合として強く抗議します。
 さらに、今年1月のセンター廃止決定時点では国際高等教育院や大学院教育支援機構による事業継承の可能性を示していたにもかかわらず、7月になって執行部はセンターのほとんどの事業を継承しない方針を示しました。諸事業の廃止は、本学の学生や教職員はもとより、各大学の高等教育研究者、センターによる教育ICTプラットフォームを活用してきた社会人、一般の大学生、高校生などにも大きな不利益をもたらすものです。
 センターはコロナ禍の中でオンライン/ハイブリッド型授業を支援するための学内講習会を頻繁に開催してきました。今年3月に刊行された『教員活動状況報告書』でもその全学的貢献を高く評価しています。本学の授業や公開講座、国際シンポジウムなどの動画・講義資料を世界に向けて積極的に公開するオープンコースウェア(OCW)は学生や教職員はもとより、大学での学びに興味のある高校生や社会人にも活用されてきました。YouTubeチャンネル(Kyoto-U OCW)の登録者数は10万人にものぼります。マサチューセッツ工科大学とハーバード大学を中心とする大規模公開オンライン講義(MOOC)のネットワーク(edX)にもアジアの大学としていち早く参加、課題を課して修了証も交付するMOOCは世界中の大学に広がり、京都大学MOOC(KyotoUx)の受講者数も世界中で28万人を超えています。
 こうしたプラットフォームを廃止(一部は廃止ではなく更新停止)するという告知は、学内外に大きな戸惑いと強い批判を引き起こしています。『京都新聞』(8月19日付)は「どうなる京都大学のユーチューブ講義 10万人登録も廃止方針」と報道、その中で飯吉透センター長は「知の社会還元のために京大が蓄積してきたコンテンツを捨てようとするのは理解に苦しむ」と語っています。さらに、村上正行大阪大学教授らが発起人となってセンターの機能存続を求めるオンライン署名を始めました。その呼びかけ文ではセンターの事業終了は「教育を支える公共財に対する攻撃」にほかならないとして、「京大高等教育センターをなぜ廃止としたのか、なぜ、ほとんどの業務を終了としたのか、その理由を説明していただきたい」と京都大学執行部に要求しています。全国の高等教育研究・開発の拠点でもあった京大のセンター廃止は、「知的公共財」を拡大する試みを全国的に逆戻りさせてしまうのではないかという懸念すら広がっています。
センターの廃止がこのような波紋を引き起こしているもかかわらず、執行部は学内外への説明責任を放棄したままです。湊総長も委員として参加した「国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議」の「最終とりまとめ」(2020年12月)では、国立大学法人が学生を含む多様なステークホルダー(利害関係者)への「説明責任」を果たし、「多様なステークホルダーとのエンゲージメントを通じ、社会全体から理解と信頼を確実に獲得する」ことが必要という見解を示しています。また、京都大学の基本理念は「環境に配慮し、人権を尊重した運営を行うとともに、社会的な説明責任に応える」と謳っています。
 説明責任を放棄した状態でのセンター廃止は、センター・スタッフの人権を否定し、学生と教職員に不利益をもたらした上で、さらにこれまで京都大学が築いてきたはずの「理解と信頼」を決定的に損なう暴挙と評せざるをえません。
本来ならばセンター廃止という決定そのものを見直すべきですが、専任教員らの移籍先も決定されている現時点で決定を覆すことは混乱を招きかねません。将来的な再建を見すえつつ、現時点でとりうる最低限の措置として以下の申し入れに応えることを求めます。

2022年9月16日        
京都大学職員組合 中央執行委員会

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2022年9月16日

京都大学総長   湊 長博殿
京都大学企画担当理事・副学長 村中孝史殿
京都大学教育担当理事・副学長 平島崇男殿

                          京都大学職員組合
                             中央執行委員長 林 重彦

高等教育研究開発推進センター廃止にかかわる声明と申し入れ

 京都大学職員組合中央執行委員会は、高等教育研究開発推進センターの廃止にかかる声明を発表した(別紙)。この声明の趣旨を踏まえ貴職方に下記のことを申し入れます。ついては9月末までに下記の各項目について回答されることを求めます。

1. センター廃止理由について学内外に対して説明責任を果たすこと。
 先の『京都新聞』(8月19日付)の記事では、「個別具体の検討状況は答えかねるが、時代のニーズに対応した教育内容・体制の改善を進めていく」という大学広報課のメッセージが伝えられています。ですが、「個別具体の検討状況は答えかねる」というのは説明責任を放棄すると社会に対して公言することにほかなりません。何を「時代のニーズ」とみなしいるのか、なぜセンターの諸事業が「時代のニーズ」に合わないとみなしたのか、ご回答ください。また学内外のステークホルダーを対象とした説明会を開催し、総長あるいは企画担当理事、教育担当理事自らご説明いただくと同時に、参加者の質問にお答えください。

2. センターの諸事業を廃止する方針を見直し、今後の事業継続のあり方について審議するための全学的な協議会を設置すること。
 センターの諸事業を廃止する方針を見直し、今後の事業継続のあり方について、各部局のニーズをふまえて審議するための全学的な協議会を設置してください。

3. 企画委員会の委員一覧と議事録を京都大学ウエブサイトに公開するとともに、重要な合議体の議事録を個々の発言者の発言趣旨が同定できるものに改めること。
 今回のセンター廃止の原案を作成した企画委員会について、委員一覧も議事録も公開されていません。役員会の議事録も「企画委員会の審議結果を承認」したという内容しか記されていません。教育研究組織の改廃という重大な意思決定の過程が学内者に対してすらもブラックボックス化されています。今回のセンター廃止ばかりではなく、保健診療所の廃止、総合生存学館の改組、技術職員組織の改組、支援職員制度の導入のいずれも、受皿となる組織や制度の準備が整わない生煮えの状態で既存組織の廃止だけが強権的に進められています。それは教育・研究・医療の現場に無用の混乱と多大な疲弊をもたらし、さらに次は自分の属する組織が改組・廃止の対象となるのでないかという疑心暗鬼を拡大します。ほとんど「恐怖政治」ともいうべき状況においてイノベーティブな研究・教育が展開されるべくもありません。意思決定の過程の透明化への第一歩として、企画委員会の委員一覧と議事録を公開するとともに、企画委員会と役員会を含めて重要な合議体の議事録を言葉の本来の意味での「議事録」、すなわち個々の発言者と発言趣旨の特定できるものと改めてください。

以上

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