日 時:2015年1月29日(木)昼休み
講義題:「歴史からみた東アジア」講 師: 堀 和生 氏(京都大学 経済学研究科 教授)
講義資料:歴史からみた東アジア.pdf ※映像の中では読みにくい文字もありますので、補助資料としてご覧ください。
収録映像:http://youtu.be/cdUnZLK-8mk (YouTube)
講義概要: 今日新興国の経済的な台頭が注目されるようになり、いわゆる後進地域
においても広範に経済発展が起こっています。そして、日本、中国、韓国、
台湾から東南アジアまでを含めた広義の東アジア地域は、現在世界最大の
工業中心地になっています。21世紀の初頭、世界経済のなかで東アジアを
中心とした経済的な台頭が、大きな変化の原動力になっていることは、誰
もが実感するところです。
しかし、このような事態がひろく認識されるようになったことは、それ
ほど古いことではありません。かつての伝統的な社会科学では、近代資本
主義が成立するということはきわめて困難な課題であり、厳格な条件を備
えた社会、つまり欧米社会だけにおいて成立するものだと考えられていま
した。そして、その唯一の例外が日本であると。ところが、冒頭にみたよ
うな現在の状況を見ると、そのような伝統的な歴史観はもはや説得力を持
たなくなっています。とすると、経済発展や近代化という問題で、これま
でのとらえ方とは異なる新しい枠組みを創らなければなりません。
その際、良い素材が東アジアの近代経済史だと考えます。かつて、日本
は他のアジア社会とは異なるっているので、日本のみが欧米化することが
可能であったと捉えていました。ところが、今日のように東アジア各国が
次々と経済発展を遂げてくると、日本を例外とするのでなく、むしろ日本
は東アジア経済発展の先駆であったという見方が出てきたわけです。この
ような新しい発想で東アジアの歴史をみると、従来見えていなかったいろ
いろのことを発見することができます。また、このような歴史的な視点は、
今日東アジアが抱えている数多くの問題について、具体的なで解決の手が
かりを提供してくれる可能性もあります。このようなことについて、皆さ
んと一緒に考え議論をしてみたいと思っています。
この話題に関心のある方は、京都大学広報誌『紅萌』に私の研究紹介が出
ていますので、ご一読ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/public/issue/kurenai/documents/19.pdf
講師プロフィール:堀 和生 ほり・かずお
1970年 3月 大分舞鶴高等学校卒業
1970年 4月 龍谷大学文学部史学科東洋史学専攻入学
1977年 4月 京都大学大学院文学研究科国史学専攻入学
1982年 4月 京都大学研修員
1985年 4月 日本学術振興会奨励研究員
1989年 4月 大韓民国ソウル大学校経済研究所において特別研究員
1989年 6月 京都大学(経済学部)助教授採用
1994年 47月 京都大学(経済学部)教授昇格
1997年 4月 京都大学大学院経済学研究科教授(現在に至る)
2000年7月 台湾中央研究院近代史研究所において訪問学者
2001年度に京都大学職員組合中央執行委員長、その他、経済
学部支部支部長など組合役員を歴任。
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