京大賃下げ国家賠償請求訴訟第一審判決についての声明
2018年9月25日
原告:高山 佳奈子(京都大学職員組合副中央執行委員長)
本日、京都地方裁判所第6民事部は、京都大学教員である原告が提訴した国家賠償請求事件において、請求を棄却する判決を言い渡しました。
本件訴訟は、2012年2月29日の国家公務員給与臨時特例法による同年4月から2年間の国家公務員の給与減額に乗じて、国が全国の国立大学法人に賃下げを違法に要請したことを原因として、賃金減額分にあたる被害額の支払いを原告が請求したものです。
そもそも東日本大震災の復興財源を含む国の財源の確保という名目は、国から国立大学法人に交付される運営費交付金の減額によって100%実現しています。さらに、京都大学ではこの削減を受けても教職員の賃下げを回避するのに十分な財源のあったことが、本件に先立つ未払い賃金請求訴訟によってすでに明らかにされていました。したがって、京都大学においては国の要請のみが賃下げの原因であったことが、本件で両当事者によって認められています。
日本でこれまでに行政指導の違法性が問題とされた国家賠償事件ではすべて、正当な目的のために不当な手段が用いられたかどうかが争点でした。これに対し、本件での国の要請は、国の財源を1円も増加させず、何らの正当な行政目的もないところで、単に賃下げという基本的人権の侵害自体を直接に求めるものであり、憲法および行政手続法に違反します。
判決書が交付されるまで詳細がわかりませんが、本件判決は、行政法の根幹か民事訴訟法の根幹かの少なくともいずれかを破壊するものであることが明らかですので、原告は直ちに控訴する意向です。