【ミニ講義】「非正統派」文化から読み解く古代インド ―サットラ行者は若者組か修行集団化|2025.11.5実施|第86回

【YouTube】https://youtu.be/vtDUIIKdrWc

【講義で使用したスライド】251106ミニ講義スライド.pdf

【日 時】2025年11月5日(水) 12:05~

【講 師】天野 恭子 氏(文学部支部|文学研究科 准教授 インド古典学専修)
    2001年、フライブルク大学Dr.phil.(印欧語比較言語学)。
    子育てのための10年間の研究中断期間を経て、2013年に京都大学人文科学研究所日本学術振興会特別研究員(RPD)として研究現場に復帰。
    2017年から2022年まで京都大学白眉センター・人文科学研究所特定准教授。2024年4月より現職。
    古代インド、ヴェーダ文献の言語を研究してきたが、ヴェーダ文献の中に見られる言語層を浮き彫りにすることで文献成立の背景を解明するという着想を得、近年は特に、ヴラーティアと呼ばれる異文化的要素を持つ社会集団の存在に注目して研究している。
    ※略歴は講義時点のものです。
【講義概要】
     紀元前15世紀から1000年程の時間をかけて徐々に編纂された古代インドのヴェーダ文献は、複雑なサンスクリット文法を完璧に駆使して綴られた、宇宙や生命についての深い洞察、人間の喜怒哀楽と生きる道を示す、世界有数の叡智の書です。この文献は、インドのエリート階級であったバラモンによって編まれ伝えられてきたことが知られていますが、近年では土着文化の影響、それもバラモン社会の中心となったグループがやって来るより前にインドに侵入しいち早く土着文化との融合を果たしていた、ヴラーティアという社会グループを通しての影響を見直す動きがあります。このヴラーティア達の特徴的な文化として、一年間の、村を離れた男性だけの共同生活があります。日本の若者組やアフリカの部族社会の通過儀礼、中世ヨーロッパのギルド制などとも比較し得るこの共同生活は、非常に興味深い、インド宗教史にとっても重要な様々な要素を含んでいます。一方で、これらは正統派バラモン集団の作ったヴェーダにおいては周縁化されており、全体像が見えにくくなっています。ミニ講義では、ヴラーティア文化の興味深い宗教的要素について紹介し、文化の周縁化、異端と正統派の問題についても考えてみたいと思います。

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