京都大学職員組合 第102回定期大会宣言

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京都大学職員組合 第102回定期大会宣言

 私たちは、この第102回定期大会を迎えるにあたって、あらためて労働者の権利の保護と生活権の保障、そして京都大学に民主的なキャンパスを実現することを訴えたいと思います。
 私たちは結成以来、これらのことを常に訴えてきました。しかし現状は残念ながらむしろそれとは逆の方向へ進んでいます。
最近の物価上昇の一方、労働者の賃金レベルは依然として他の先進諸国と比べて低いままであり、実質賃金は依然大きくマイナスに落ち込んでいます。非正規雇用者数の増加などにより生じた大きな所得格差が進んだ社会において、物価上昇の負担は特に所得の低い時間雇用職員や支援職員や学生職員に大きくのしかかり、また有期雇用教職員の生活の更なる不安定化をもたらします。京都大学法人には、京都大学で働くすべての教職員の賃金の引き上げとともに、支援職員制度などの活用を通じた雇用の安定化と同一労働同一賃金を実現するよう求めます。
 これまでの運営費交付金の継続的な削減により、業務を維持する職員の減少や有期雇用化が進み、長時間労働の増加や待遇の低下などの労働環境の悪化が見られます。また、労働環境の悪化は働き方を制限するため、例えば男女格差の是正に対しても障壁となり、多様な労働者が働くことを阻害しています。その是正のためには、労働者の権利に基づいた労働環境の整備が不可欠です。言うまでも無く、京都大学の教育と研究は、そこで働くすべての多様な労働者が関わり貢献することにより成し遂げられています。従って、働きやすい職場環境の整備は、京都大学法人が最も必要とするものの一つです。京都大学法人には、より明確な職務内容や業務量の管理や、大きなリソースの配分に基づく人員・職務体制の強化など、働きやすい職場環境の整備を求めます。
京都大学法人が本年度に再度応募した「国際卓越研究大学」制度は、「選択と集中」の流れの中における運営費交付金の継続的な削減と表裏をなしており、学問の自由や大学の自治、労使合意や労使慣行を一方的に毀損する恐れがあります。これからの教育・研究の発展のために、私たちは、全国大学高専教職員組合と協力しながら政府に対して運営費交付金拡充を求めると共に、京都大学法人に対しても、政府への運営費交付金拡充の強い働きかけと、今後も「国際卓越研究大学」へ応募をしないことを求めます。
 このような不安定な社会に呼応するように、国内外において大学における学問と表現の自由が脅かされる事態が起きています。アメリカでは、法や学問による真理の追究を軽視する政策の施行や、政権の意にそぐわない大学への補助金取りやめなどの露骨な学問の自由への侵害が行われています。国内に目を向けると、先般成立した学術会議法案は、何も説明がされず不透明なままの経緯を辿る任命拒否問題を糊塗した上に、学術会議のナショナルアカデミーとしての独立性・自立性を毀損するものです。このような知的営みに真っ向から反する説明拒否や権威主義的意思決定の姿勢は、残念ながら、京都大学法人でも顕在化しています。今後の長期間にわたる京都大学の将来を大きく左右する「国際卓越研究大学」申請においても、申請内容の十分な説明も議論もなされないまま申請が行われました。また、6月26日、京都地方裁判所は、本組合が提訴し、4年におよんだタテカン訴訟において、京都市と京都大学の主張のみを鵜呑みにした不当判決を下しました。私たちはこれを断固として許すことはできません。
 社会を構成するすべての人々の権利が守られ、それぞれの人がそれぞれにふさわしい扱いを受けることができる社会の実現には、社会に開かれた対話と議論を通した公正な取り組みが必要です。私たちはそのような社会の実現を目指すと共に、政府と京都大学法人に必要な措置を執ることを要求します。
 以上を本大会は宣言します。

2025年6月28日 京都大学職員組合第102回定期大会

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