団体交渉を申し入れました

 職員組合は2023年4月14日付けで、下記、要求事項にかかる団体交渉を申し入れました。交渉日が固まり次第、組合員のみなさまにご案内いたします。

★230414_団体交渉申入
https://1drv.ms/b/s!AmKvrfs6CciGjZBg1GMwmXRlb3lyLg?e=RmCbFb
(下記、要求書・要求趣旨のテキストです。)

2023年4月14日

京都大学総長 湊 長博 殿

   京都大学職員組合                  
中央執行委員長 林 重彦           

団体交渉申入

 団体交渉の方式及び手続に関する労働協約第5条に基づき、下記の要求事項にかかる団体交渉を申し入れます。早急にご準備いただきますよう、お願いいたします。また、交渉日までに文書による一次回答をご提示いただきますよう要請いたします。なお、交渉会場確保の事情により、交渉日時の設定に困難が生じる場合には、当方で学内会場を手配し提案いたします。会場手配の事情により交渉日時が徒に遅延することがないようご準備願います。

要求事項

1 事務部における支援職員の採用促進策を講じ、現在事務部で勤務する時間雇用教職員の支援職員登用を推進すること。
2  時間雇用教職員の時給単価を大幅にベースアップすること。
3 特定職員および特定専門業務職員に通勤手当を支給すること。
4 高等教育研究開発推進センター(以下、センター)の業務の継続必要性についての判断をするのに先だって、センターの廃止を決定した理由を説明すること。
5 教員以外の教職員の定年延長の制度設計にあたっては、60 歳に到達する年度の前後で同一労働・同一賃金を逸脱する待遇改定を行わないこと。

要求趣旨

1 事務部における 支援職員の採用促進策を講じ、現在事務部で勤務する時間雇用教職員の支援職員登用を推進すること。
【要求趣旨】
 2022年10月より開始された支援職員の採用については、通常選考採用と部局推薦型採用の二つの採用系統が用意されている。少なくとも昨年10月の支援職員採用の実績としては、どちらの系統の採用においても積極性に欠き甚だ期待外れな状況となっている。部局によっては、部局推薦型採用の運用ルール策定を摸索する動きがみられるものの、部局の所管にありながら事務部における支援職員の採用の動きは研究室のそれと比べて相対的に鈍い状況にある。中でも各構内共通事務部においては、必要な雇用経費が各部局から拠出される形で工面されている。そのため、時間雇用教職員であれ部局推薦型の支援職員であれ、部局として雇用経費の将来的な担保が困難であるという、組織設置・運用上の構造的な問題を抱えている。また、ある事務部では、部局推薦型の支援職員採用に向けたイニシアチブをとらない方針を固めたという情報も側聞しており、現時点では事務部における部局推薦型の支援職員の採用率は極めて低いと思われる。
 支援職員の採用制度は、必ずしも学内で勤務する時間雇用教職員だけ採用することを想定したものではないようであるが、支援職員制度が導入されるにあたり戦略調整会議が学内に示してきた検討報告においても、時間雇用教職員等への適切な処遇の必要が述べられ「同一労働同一賃金対応」が意図されていることは明らかである。部局長会議等でもそのように説 明されてきた。
京都大学で働く教職員のうち、直接に教育・研究・医療を担う教員・研究者以外は、すべて教育・研究・医療を支援する業務に従事する。事務補佐員たる時間雇用教職員は例外なく、研究・医療を支援・補佐する業務を担っており、その中でどのような業務に当たるかは、業務区分や配属先の違いに過ぎない。それにもかかわらず、たまたま勤務している業務区分や配属先によって、支援職員へのキャリアアップの機会に著しい格差があることは、不公正な労働条件と言わざるを得ず、早急な改善が必要である。
 こうした機会格差は、制度設計した本部の理念とそれを実際に運用する部局事務部との間に見解や意識の乖離が存在することによって生まれており、これを是正することが求められる。ついては、現時点において、支援職員へのキャリアアップの機会に乏しい事務部に支援職員を積極的に採用するように部局への働きかけを求める。
支援職員を採用する対象に事務部門も含める制度とした以上、構造的に部局推薦型の支援職員を採用することが困難な事務部の状況を放置することは無責任と言わざるを得ない。
教員の事務負担を軽減し、同一賃金・同一労働を目的とした今回の趣旨・目的を全うするためには、学内全体に今回の制度を完全に行きわたらせ活用できる制度にすることが肝要である。
 その一環として、事務部においても部局推薦型の支援職員採用に積極的に取り組むことができるよう、特段の措置を講じることを要求する。

2 時間雇用教職員の時給単価を大幅にベースアップすること
 民間企業の2023年春闘が大詰めを迎え、労組の賃上げ要求に対して満額回答をする企業が相次いでいる。こうした状況は次の人事院の民間給与実態調査にも影響を与え、次期の人事院勧告にも反映されるであろう。人事院勧告・給与法改定を教職員賃金の重要な指標に据えている京大法人においても、来年度の俸給や一時金の引き上げは必至の状況にあるといえる。むろん、私たちは人事院勧告程度の賃上げに甘んじるつもりはない。
 一方、常勤職員の俸給表と連動しない時間給単価が設定されている時間雇用教職員は、春闘や人事院勧告の動勢がどうあれ、仕組みとして賃金が上がることがない。
 2022年12月16日の団体交渉においても同様の要求を掲げたが、理事の回答は「時間雇用教職員については、職務内容に応じて、時間給の設定をしています。例えば、20代の方を研究員として、最高時間給3,900円で登用したり、事務補佐員として最高時間給1,600円で登用したりしている、といった実績もありまして、他の職種でも同様に職務内容に対して、年齢等によらない時間給設定を公平に行っております。」といった、まったく論点をずらした回答をしている。この回答を一般職員の例で表現するとこうなる「10級まで昇格すれば年収は1千万円を越えて今より給料は上がる」。これが賃上げやベースアップに対する回答になり得ないことは誰にでもわかるであろう。春闘の労使交渉の場で経営者側が「君たちも社長にまで上り詰めれば年収は増える」などと言おうものなら大紛糾し、新聞紙面やニュースを大きく騒がせることであろう。先般の団交回答はこれと同レベルである。
 賃上げとは、支払い得る賃金単価の上限設定を引き上げることではない。現に勤務している労働者の賃金を引き上げることである。ベースアップとは、その事業体で勤務する労働者の賃金テーブルを全体的に上方改定し一律に賃上げをすることである。
 上記のことを踏まえ、「賃上げ」と「ベースアップ」の要求趣旨を再掲する。論点をずらすことなく正面から回答されたい。
 現在の時間雇用教職員の時間給の体系への就業規則改正が施行されたのが2005年4月であり、事務補佐員の場合、900円〜1,200円の時給テーブルが設定された。その後、2014年4月に通勤手当の廃止と共に、900円〜1,600円の時給テーブルへと改められた。しかし、実際に募集される事務補佐員の多くが、従前通り1,000円〜1,200円の範囲の時給設定である。TA、OAについても基本的には同様の運用がなされている。
 一方、京都府の最低賃金は2005年に時給682円だったものが、この10月から968円となり、実に約4割を超える上昇率である。しかし、京都大学の時間雇用職員、とりわけ事務補佐員、TA、OAについては設定される時間給が2005年以降据え置かれたままである。
 言うまでもないが、最低賃金とはその地域において、職歴や学歴などに関わらず最も単純な業務に従事する労働者に対しても支払わなければならない最低額の時間給である。こうしたことから、この十数年で本学の時間雇用教職員の時間給は地域の賃金相場から相対的に下がり続けていると言える。また、時間雇用教職員が担う業務は、この十数年間の定員削減なども相まって、密度や求められる業務水準も高まってきている。TA、RA、OAについても、学術・研究・教育にかかる知識・経験が一定程度期待されることが前提となる雇用態様である。これらの状況を含めて勘案すると、最低賃金の上昇幅以上に実質的な賃金は下がっていると考えられる。
 本学は、本邦でも有数の高度教育研究機関である。京都大学法人が団体交渉で繰り返し述べる「臨時的、季節的および補佐的業務」という主張を仮に受け入れたとしても、日本社会に存在する「最も単純な業務」より、相当程度に高度な知識やスキルを必要とする。こうした業務に従事する優秀な人材を勤務させるにあたり、最低賃金周辺の時間給の処遇などあり得ない。最低限、2005年10月から現在までの最低賃金上昇幅相当の賃上げを必要とする。

3 特定職員および特定専門業務職員に通勤手当を支給すること。
【要求趣旨】
 2020年4月より働き方改革関連法が施行されたことに伴い、正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規社員(短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)との間に不合理な待遇格差を設けることが禁止された。こうした状況に対応して、時間雇用教職員については2014年度以降採用者については通勤手当が支給されていなかったところ、2020年4月より通勤手当が支給されることとなった。しかし、特定職員や特定専門業務職員については、未だに通勤手当が支給されておらず、これは、先に述べた働き方改革関連法に適合していない。
大学法人としては、特定職員・特定専門業務職員に通勤手当が設定されていないことは、有期雇用であることを理由としたものではないと主張するのであろう。確かに、諸手当を含んだ形の賃金月額固定の年俸的な有期雇用契約制度は日本社会にも少なからず存在する。しかし、こうした年俸的な給与体系の適用を受ける労働者の報酬は相当に高額であり、諸手当を付加しなくとも十分以上の生活を維持できる水準であることが多い。一方、本学の特定職員や特定専門業務職員の賃金水準を見ると、各種手当が支給される教職員の年収水準と比べてもそれほど変わるところはなく、各種手当が不要になるほど破格の報酬で遇されているわけではない。
 また、各種手当の中でも通勤手当の特性を十分に考慮する必要がある。正社員と契約社員間の待遇差の違法性が争われた日本郵便事件の大阪高裁での判決では、
” 扶養手当は、いわゆる家族手当に該当するところ、家族手当は、一般的に生活手当の一種とされており、長期雇用システム(いわゆる終身雇用制)と年功的賃金体系の下、家族構成や生活状況が変化し、それによって生活費の負担が増減することを前提として、会社が労働者のみならずその家族の生活費まで負担することで、有為な人材の獲得、定着を図り、長期にわたって会社に貢献してもらうという効果を期待して支給されるものと考えられる。…”
としたことを述べている。職員組合としては必ずしもこの大阪高裁の判決全体に賛意を示すものではないが、仮にこうした観点から考えるとしても、通勤手当は想定される雇用期間の長短や雇用形態にかかわらず、労働者の居住場所から使用者が指定する勤務場所に通勤するための実費弁償的な必要経費としての賃金である。どのような雇用形態であれ、通勤のための交通費を負担しているにもかかわらず通勤手当が支給されない教職員が存在することは不合理である。
 税制においても、通勤手当として支給されれば課税控除の対象となるが、通勤手当としての区分がない特定職員・特定専門業務職員は、実際に通勤に要した交通費が課税控除されない不利な状況に置かれている。
これらのことから、特定職員や特定専門業務職員に通勤手当が支給されていないことは、著しく公正性を欠いていると言わざるを得ず、早急に通勤手当を支給することを要求する。

4 高等教育研究開発推進センター(以下、センター)の業務の継続必要性についての判断をするのに先だって、センターの廃止を決定した理由を説明すること。
 前回の団体交渉において、センターの現員スタッフの移行先を示さないままに全学組織の改廃を決定したのは異例な措置であることが確認された。この異例な措置により、センターのスタッフの労働環境は著しく損なわれ、中には京都大学を退職せざるをえなかった者もいる。
 前回2月20日の団交で永田憲司企画部企画課長は、センターのスタッフの雇用をめぐる問題について「できるかぎり尽力した」として次のように語った。「センターの業務を継承して、そこにかかる事業経費が、どちらの部署で、引き継ぐべきものなのかを明らかにしていただければ、大学本部として経費の確保に尽力します」「速やかに、どの様に必要な経費が掛かるのかをお知らせしてください」と事務を通じて何度もセンター側に伝えた。
あたかもセンターのスタッフが事業経費の申請をしなかったことが問題であるかのような回答である。
 しかし、重要なことは、このような意向を伝えたとされる2022年4月時点においてセンターの業務の存続は未確定であったことである。そのため、センターの側ではセンター廃止後にどのようなスタッフが必要であるかについて見通しを立てられない状況であった。
平島崇男教育担当理事がセンターの業務の廃止と存続について決定してセンター側に通知したのは、2022年7月のことである。すでに9月末のセンター廃止を目前にしていたために、スタッフは京都大学の別の部局に異動する、他大学にポストを求める、あるいは退職するなど10月以降の身の振り方を決めざるをえない状況に追い込まれており、この時点で必要な雇用と経費を申請するのは不可能であった。
 本来ならば京都大学の社会的役割に即してセンターの業務継続の必要性に関しての判断がまずあり、そのために必要なスタッフと経費についての考量があり、場合によってはその考量の結果として全学組織の改廃が問題になるはずである。
ところが、2022年1月の部局長会議に企画委員会が提出した答申では、「センターが担ってきた業務のうち、継続の必要があるものについて国際高等教育院及び大学院教育支援機構に移行する方向で検討を進める」と書くに止まり、何が「継続の必要がある」かという判断を示していない。
 企画委員会の委員として、このように業務の継続必要性についての判断をペンディングにしたままセンター廃止という答申を記した理由を説明せよ。また、理事として企画委員会の答申を役員会で追認した者は、これを正当な措置と判断した理由を説明せよ。
回答にあたっては、すくなくとも2022年1月当時企画委員会の委員であった者、および平島崇男教育担当理事の出席を求める。

5 教員以外の教職員の定年延長の制度設計にあたっては、60歳に到達する年度の前後で同一労働・同一賃金を逸脱する待遇改定を行わないこと。
 本年、3月14日の部局長会議において、「職員の定年年齢の引き上げ方針」(資料18-1)とする資料が示された。併せて参考資料として「国家公務員法等の一部を改正する法律案の概要」(令和3年通常国会/令和3年4月内閣人事局)示されていた。
 本学の職員の定年延長の検討状況の詳細は不明であるが、仮に国家公務員に準じた制度を導入するならば、60歳到達年度の後の賃金については、60歳到達年度の以前の7割になると示されている。60歳到達年度において役職の地位にある者は役職定年となることが示されているが、60歳到達年度において役職の地位にない職員については、特段の言及はない。 これらの情報を敷衍して考えると、本学において国家公務員の定年延長に準じた制度を導入したならば、60歳到達年度において役職の地位にない職員は、60歳到達年度の後の賃金は、7割に引き下げられるものの、職務は従前と変わらない状態が発生することが懸念される。こうしたことは、同一労働・同一賃金の考えと相容れないものである。
 ついては、60歳到達年度後の賃金が、それ以前の賃金より減額することを伴う定年延長制度の導入を検討しているのであれば、同一労働・同一賃金の観点から、60歳到達年度後の職務内容については、相応の職務となるよう制度設計することを求めるものである。

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