団体交渉を申し入れました

 職員組合は2024年5月20日付けで、下記、要求事項にかかる団体交渉を申し入れました。交渉日が固まり次第、組合員のみなさまにご案内いたします。

★240520_第03回団交申入書・要求
https://1drv.ms/b/s!AmKvrfs6CciGjqJqu6MKMIQXX1R5xA?e=xfAnvw
(下記、要求書・要求趣旨のテキストです。)

2024年5月20日

京都大学総長 湊 長博 殿

                   京都大学職員組合                   
                      中央執行委員長 ミツヨ ワダ マルシアーノ   

団体交渉申入

 団体交渉の方式及び手続に関する労働協約第5条に基づき、下記の要求事項にかかる団体交渉を申し入れます。早急にご準備いただきますよう、お願いいたします。また、交渉日までに文書による一次回答をご提示いただきますよう要請いたします。なお、交渉会場確保の事情により、交渉日時の設定に困難が生じる場合には、当方で学内会場を手配し提案いたします。会場手配の事情により交渉日時が徒に遅延することがないようご準備願います。

要求事項

1 事務部における 支援職員の採用促進策を講じ、現在事務部で勤務する時間雇用教職員の支援職員登用を推進すること。

2 時間雇用教職員の時給単価を大幅にベースアップすること。少なくとも今年度については、常勤職員と同水準のベースアップを実施すること。

3 特定職員および特定専門業務職員に通勤手当を支給すること。

4 国際卓越研究大学への応募にあたっては、応募の意思決定を行う前に学内構成員が自由に意見を述べることができる形態で説明会を実施すること

5 ハラスメント案件の対応が著しく遅滞しているコンプライアンス部(元 公正調査監査室)の業務体制を改善すること。とりわけ職員組合が関与している案件について迅速に対応すること。

要求趣旨

1 事務部における 支援職員の採用促進策を講じ、現在事務部で勤務する時間雇用教職員の支援職員登用を推進すること。
【要求趣旨】
 2022年10月より開始された支援職員の採用については、通常選考採用と部局推薦型採用の二つの採用系統が用意されている。専攻や研究室では部局推薦型採用が一定程度の実績がみられるが、事務部における支援職員の採用の動きは専攻・研究室のそれと比べて鈍い状況にある。中でも各構内共通事務部においては、必要な雇用経費が各部局から拠出される形で工面されている。そのため、時間雇用教職員であれ部局推薦型の支援職員であれ、部局として雇用経費の将来的な担保が困難であるという、組織設置・運用上の構造的な問題を抱えている。
 こうした状況から、共通事務部に支援職員としても十分な職務を果たせる時間雇用教職員がいたとしても採用枠を確保できず、専攻・研究室の時間雇用教職員に比べて、キャリアアップの機会の著しい不均衡が生じている。
 京都大学で働く教職員のうち、直接に教育・研究・医療を担う教員・研究者以外は、すべて教育・研究・医療を支援する業務に従事する。事務補佐員たる時間雇用教職員は例外なく、研究・医療を支援・補佐する業務を担っており、その中でどのような業務に当たるかは、業務区分や配属先の違いに過ぎない。それにもかかわらず、たまたま勤務している業務区分や配属先によって、支援職員へのキャリアアップの機会に著しい格差があることは、不公正な労働条件と言わざるを得ず、早急な改善が必要である。
 こうした機会格差は、制度設計した本部の理念とそれを実際に運用する部局事務部との間に見解や意識の乖離が存在することによって生まれており、これを是正することが求められる。支援職員を採用する対象に事務部門も含める制度とした以上、構造的に部局推薦型の支援職員を採用することが困難な事務部の状況を放置することは無責任である。
 ついては、現時点において、支援職員へのキャリアアップの機会に乏しい事務部に支援職員を積極的に採用するように部局へ働きかけると共に、とりわけ共通事務部において支援職員の配置を増やすことを求める。

2 時間雇用教職員の時給単価を大幅にベースアップすること。少なくとも今年度については、常勤職員と同水準のベースアップを実施すること。
 民間企業の2024年春闘の回答が続々と伝えられ、労組の賃上げ要求に対して満額以上の回答をする企業も珍しくはない。こうした状況は次の人事院の民間給与実態調査にも影響を与え、次期の人事院勧告にも反映されるであろう。人事院勧告・給与法改定を教職員賃金の重要な指標に据えている京大法人においても、来年度の俸給や一時金の引き上げは必至の状況にあるといえる。むろん、私たちは人事院勧告程度の賃上げに甘んじるつもりはない。
 一方、常勤職員の俸給表と連動しない時間給単価が設定されている時間雇用教職員は、春闘や人事院勧告の動勢がどうあれ、仕組みとして賃金が上がることがない。
 2023年5月の団体交渉においても同様の要求を掲げたが、理事の回答は、時間雇用教職員の賃金テーブルの刻みを50円単位から10円単位にすることに止まった。50円単位の時給アップが困難な部門にとっては、時給アップを考えやすくする側面はあるが、別の見方をすれば最低賃金の上昇に対して最小限の賃上げで対応しようとする貧相な対応である。理事はこれまでの団交での回答で「それぞれの勤務場所で適切な時給が設定されている」と言うが、最低賃金や地域の賃金相場が大幅に上昇する中で、前年と同じ時給が設定されている時点ですでに不適切な賃金水準なのである。
 賃上げとは、賃金テーブルの刻みを細かくすることでもなければ、支払い得る賃金単価の上限設定を引き上げることではない。現に勤務している労働者の賃金を引き上げることである。ベースアップとは、その事業体で勤務する労働者の賃金テーブルを全体的に上方改定し一律に賃上げをすることである。
 現在の時間雇用教職員の時間給体系が確立したのは2005年4月であるが、その当時の京都府の最低賃金は682円であったが、現在は1,008円と、50%近い上昇を見せている。言うまでもないが、最低賃金とはその地域において、職歴や学歴などに関わらず最も単純な業務に従事する労働者に対しても支払わなければならない最低額の時間給である。こうしたことから、この十数年で本学の時間雇用教職員の時間給は地域の賃金相場から相対的に下がり続けていると言える。また、時間雇用教職員が担う業務は、この十数年間の定員削減なども相まって、求められる業務の密度や水準も高まってきている。TA,RA,OAについても、学術・研究・教育にかかる知識・経験が一定程度期待されることが前提となる雇用態様である。これらの状況を含めて勘案すると、最低賃金の上昇幅以上に実質的な賃金は下がっていると考えられる。
 本学は、本邦でも有数の高度教育研究機関である。京都大学法人が団体交渉で繰り返し述べる「臨時的、季節的および補佐的業務」という主張を仮に受け入れたとしても、地域にある「最も単純な業務」より、相当程度に高度な知識やスキルを必要とする。こうした業務に従事する優秀な人材を勤務させるにあたり、最低賃金周辺の時間給で処遇するなどあり得ない。原則的には2005年10月から現在までの最低賃金上昇幅相当のベースアップを必要とする。しかし、50%近いベースアップを実施することが財源的に極めて困難であることは私たちも理解する。一方で、常勤職員については、人事院勧告・国家公務員給与に準拠するため、昨年の民間の賃上げ状況からすると今季の人事院勧告では一定程度の賃上げが見込まれる。そうであれば、常勤職員のみが賃上げとなり、時間雇用教職員の時間給が何ら引き上げられないことは、道義的にも許されず不公正というべき事態である。2005年3月以前、時間雇用教職員の時間給は、常勤職員の俸給表から算出していたという経緯から、少なくとも現在の時間雇用教職員の時給についても、換算級号俸の改定幅と同等の時間給引き上げを実施すべきである。

3 特定職員および特定専門業務職員に通勤手当を支給すること。
【要求趣旨】
 2020年4月より働き方改革関連法が施行されたことに伴い、正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規社員(短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)との間に不合理な待遇格差を設けることが禁止された。こうした状況に対応して、時間雇用教職員については2014年度以降採用者については通勤手当が支給されていなかったところ、2020年4月より通勤手当が支給されることとなった。しかし、特定職員や特定専門業務職員については、未だに通勤手当が支給されておらず、これは、先に述べた働き方改革関連法に適合していない。
大学法人としては、特定職員・特定専門業務職員に通勤手当が設定されていないことは、有期雇用であることを理由としたものではないと主張するのであろう。確かに、諸手当を含んだ形の賃金月額固定の年俸的な有期雇用契約制度は日本社会にも少なからず存在する。しかし、こうした年俸的な給与体系の適用を受ける労働者の報酬は相当に高額であり、諸手当を付加しなくとも十分以上の生活を維持できる水準であることが多い。一方、本学の特定職員や特定専門業務職員の賃金水準を見ると、各種手当が支給される教職員の年収水準と比べてもそれほど変わるところはなく、各種手当が不要になるほど破格の報酬で遇されているわけではない。
 また、各種手当の中でも通勤手当の特性を十分に考慮する必要がある。正社員と契約社員間の待遇差の違法性が争われた日本郵便事件の大阪 高裁での判決では、
 ” 扶養手当は、いわゆる家族手当に該当するところ、家族手当は、一般的に生活手当の一種とされており、長期雇用システム(いわゆる終身雇用制)と年功的賃金体系の下、家族構成や生活状況が変化し、それによって生活費の負担が増減することを前提として、会社が労働者のみならずその家族の生活費まで負担することで、有為な人材の獲得、定着を図り、長期にわたって会社に貢献してもらうという効果を期待して支給されるものと考えられる。…”
 としたことを述べている。職員組合としては必ずしもこの大阪高裁の判決全体に賛意を示すものではないが、仮にこうした観点から考えるとしても、通勤手当は想定される雇用期間の長短や雇用形態にかかわらず、労働者の居住場所から使用者が指定する勤務場所に通勤するための実費弁償的な必要経費としての賃金である。どのような雇用形態であれ、通勤のための交通費を負担しているにもかかわらず通勤手当が支給されない教職員が存在することは不合理である。
 税制においても、通勤手当として支給されれば課税控除の対象となるが、通勤手当としての区分がない特定職員・特定専門業務職員は、実際に通勤に要した交通費が課税控除されない不利な状況に置かれている。
 これらのことから、特定職員や特定専門業務職員に通勤手当が支給されていないことは、著しく公正性を欠いていると言わざるを得ず、早急に通勤手当を支給することを要求する。

4 国際卓越研究大学への応募にあたっては、応募の意思決定を行う前に学内構成員が自由に意見を述べることができる形態で説明会を実施すること
【要求趣旨】
 職員組合は、京大法人が前回の国際卓越研究大学指定に応募するに際し、説明会の開催を申し入れ(2023年2月13日)、質問書(2023年4月14日)も提出した。しかし教職員への説明は、2023年7月12日に教職員の質問や意見表明する方法を極めて制限した実施方法で開催したウェビナーのみであった。
 そして、国際卓越研究大学の選考にあたっての京都大学への評価の中には「現在の執行部が有する変革への意志が、長期間にわたり大学として教職員に引き継がれる必要がある」とするコメントが添えられていた。京都大学の有り様を大きく変えかねない制度への応募にもかかわらず丁寧さを欠く説明しか行わず、教職員から質問や意見を聞く機会を十分に設けなかったのであるから、至極当然の講評である。
 国際卓越研究大学制度は、外部委員過半数の運営方針会議の設置を義務づけ、最近の報道ではCSTIの有識者懇談会で、運営方針会議の外部委員の賛同を必要(事実上の拒否権付与)とする方針を示すなど、京都大学のガバナンスの在り方を根底から変えかねない制度で在る。そうなれば、私たちの教育研究条件に大きな影響を及ぼすことは必至であり、この問題は私たちの労働条件にも直結する。
 私たちは、外部委員の介入により大学の自治や学問の自由を脅かしかねない国際卓越研究大学制度には反対の立場である。京都大学は、たとえ意見が異なる場合でも対話を大切にする学風と伝統を有する学園であったはずである。今回の国際卓越研究大学への応募に際しての京大法人の振る舞いは、あまりにも教職員を軽んじていると言わざるを得ない。私たちは国際卓越研究大学への応募は望まないが、京大法人が再び同制度への応募を試みようとするならば、教職員が自由に意見を述べ、執行部と対話ができる形態で説明会を実施することを求める。

5 ハラスメント案件の対応が著しく遅滞しているコンプライアンス部(元 公正調査監査室)の業務体制を改善すること。とりわけ職員組合が関与している案件について迅速に対応すること。
【要求趣旨】
 職員組合も関与している複数のハラスメント案件がコンプライアンス部(元 公正調査監査室)で対応されているが、その進捗が著しく遅滞している(ハラスメント案件につきプライバシーの観点から本申し入れ文書では、その内容には触れない)。調査に着手するまでに数ヶ月の時間を費やし、申し立てが受理され調査が着手されてからも2ヶ月を過ぎても進捗の連絡すらない。申し立てをしている方には、期限を付して採用されている教職員もおり、任期更新の評価に影響が及んでいるケースもある。また、任期までに調査対応が完了しないといった不利益も生じている。職員組合が接する案件だけでこうした状況であるから、それが氷山の一角であるならば、かなり多くの案件の対応が遅滞していることが容易に推測される。
 同部門の担当者とも話しをするが、申立件数に対して対応するスタッフ数などの業務体制が著しく脆弱であることがうかがえる。早急にハラスメント対応体制を増強し、職員組合が関与する案件を迅速に対応することを求める。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です