団体交渉を申し入れました
職員組合は2022年6月17日付けで、下記、要求事項にかかる団体交渉を申し入れました。交渉日が固まり次第、組合員のみなさまにご案内いたします。
★220617_団体交渉申入
https://1drv.ms/b/s!AmKvrfs6CciGjLJB8QtRpTB-fx8Q-w?e=gQalc4
(下記、要求書・要求趣旨のテキストです。)
2022年6月17日
京都大学総長 湊 長博 殿
京都大学職員組合
中央執行委員長 大河内 泰樹
団体交渉申入
団体交渉の方式及び手続に関する労働協約第5条に基づき、下記の要求事項にかかる団体交渉を申し入れます。早急にご準備いただきますよう、お願いいたします。また、交渉日までに文書による一次回答をご提示いただきますよう要請いたしますとともに、本件交渉終了後には双方の公印が押印される交渉記録の作成を求めます。
なお、前回の団体交渉においては、期末手当の基準日直前に期末手当を減額する不利益変更の就業規則改定が示され、別の要求項目で日程調整をしていた団体交渉に期末手当減額にかかる交渉事項を割り込ませざるを得なくなりました。その結果、いずれの要求項目についても交渉時間が不足する事態となった不当性を当組合は問題視しています。今後、こうしたことが生じないよう対応されることを強く求めると共に、前回の交渉で消化不良に終わった要求項目の内、対応が急がれる要求事項について交渉を申し入れます。
要求事項
3 時間雇用教職員の待遇改善と支援職員にかかる要求
3.6 [継続案件]時間雇用教職員(従来制度)と支援職員を共通した基準による評価制度を導入し、時間雇用教職員(従来制度)の支援職員への登用を進めること。
3.7 [継続案件]時間雇用教職員(従来制度)で採用されている者については、2022 年10月以降も例外措置の適用を可能とすること。
3.8 [新規事項] 支援職員制度の導入について、全ての教職員が参加可能な説明会を開催すること。
3.9 [新規事項]時間雇用教職員から支援職員への登用に際して生じるテニュアトラック(有期雇用)期間後の選考により不採用とした場合、既に行使している無期転換権を
失効させる取り扱いをやめること。
3.10 [新規事項]支援職員採用にあたっての1 年間のテニュアトラック期間は、京都大学での勤務歴のない新規採用者に限定し、現に勤務している教職員からの登用する場合には適用しないこと。
3.11 [新規事項]光熱費の高騰により研究室等への配分が減額され、支援職員の採用や時間雇用教職員の雇用継続に悪影響が及んでいる部局が見られるため、部局に光熱費高騰相当の資金援助を行うこと。
以上
2022年6月17日申し入れの団体交渉要求の趣旨
3 時間雇用教職員の待遇改善と支援職員にかかる要求
3.6 [継続案件] 時間雇用教職員(従来制度)と支援職員を共通した基準による評価制度を導入し、時間雇用教職員(従来制度)の支援職員への登用を進めること。
5/30団体交渉での回答では、「支援職員と時間雇用教職員は別制度で…」ということであったが、その一方で3.7の要求を拒む理由として「より望ましい雇用形態である支援職員への移行を重視する」旨の回答があった。
支援職員導入の趣旨の中には同一労働同一賃金への対応が謳われている。従来制度の時間雇用教職員の例外措置による雇用継続を拒み、より望ましい支援職員への移行を重視するということであれば、従来制度で勤務している時間雇用教職員、とりわけその中でも無期転換権を得て長期勤続している時間雇用教職員の支援職員への移行は急務といえる。少なくとも、支援職員の採用については、新規採用よりも時間雇用教職員からの移行が優先されるべきことである。
しかし、今般導入される支援職員制度は、通常選考であれ部局推薦型選考であれ、部局にこれまで以上の人件費負担が生じる仕組みになっており、部局(その下にある教室・専攻・研究室・事務室)の財務状況の制約により、部局の支援職員配置希望を出すことができず、支援職員に移行すべき能力を有した時間雇用教職員が支援職員に登用されない事態が容易に想定される。こうした事態は、部局にとっても損失である。そればかりか、当該時間雇用教職員にとっても、たまたま所属していた勤務先の財務事情という「運」により待遇改善の機会が左右されてしまう不公平で不公正で不当な支援職員への登用が懸念される。
仮に、支援職員と従前制度の時間雇用教職員について、それぞれに求められる職務能力が異なるとしても、集団的に遂行される大学業務において必要とされるのは狭義の「職務能力」だけではない。人柄や職場内でのコミュニケーション能力、他の教職員との信頼関係など、広義の職務能力も重要な要素である。満5年、或いはそれ以上の長期にわたり勤務してきた時間雇用教職員は、狭義の職務能力に加えて広義の職務能力についても十分な能力を有している方は多く、そうした方を正当に評価する仕組みを設けて、所属部局の事情といった運に左右されない、公平・公正な支援職員への登用を進めるべきである。
3.7 [追加案件]時間雇用教職員(従来制度)で採用されている者については、2022年10月以降も例外措置の適用を可能とすること。
5/30の団体交渉の回答では「より望ましい雇用形態である支援職員への移行を重視する」ため、従来制度の時間雇用教職員の例外措置適用の延長は考えないということであった。
時間雇用教職員から支援職員への移行について、希望者・能力適合者全てを吸収できる程度の採用人数・予算等の規模が示されているのであれば、この回答にも説得力もあろう。しかし、前項の要求趣旨でも示した通り、部局においては増加する人件費負担の制約により、支援職員の配置希望の申請を見合わせている現状がある。こうした状況であれば、部局内の各部署は、部署内の時間雇用教職員の人数や年齢構成などを勘案して、段階的・循環的な支援職員の導入を考えざるを得ない。このような検討の中では、道義的な観点から無期転換権を得ているような長期勤務の時間雇用教職員の支援職員への移行を優先したいという意向もありうる。しかし、そうした場合、5年満期が迫っている有能な時間雇用教職員を支援職員に移行させることができなくなることも起こり得るのだ。例外措置によって、いくらかの猶予年数が得ることができれば支援職員ポストの循環的活用ができるケースもあり、部局の教育・研究支援にも、雇用の安定性にも寄与できる途を、硬直的な運用で閉ざすべきではない。
3.8 [新規事項] 支援職員制度の導入について、全ての教職員が参加可能な説明会を開催すること。
支援職員の通常採用の公募が何件か示されているが、未だに支援職員の採用について、教授会などで説明がされていない部局が散見される。
今回の団体交渉要求項目で掲げている要求は、現場から寄せられた疑問や不安である。支援職員の本格採用の時期まで残すところ3ヶ月余りに迫った現時点において、これだけの要求項目を掲げざるを得ないこと自体が説明不足の証左である。可及的速やかに全ての教職員が参加可能な説明会を、キャンパスごとに開催することを強く求める。
3.9 時間雇用教職員から支援職員への登用に際して生じるテニュアトラック(有期雇用)期間後の選考により不採用とした場合、既に行使している無期転換権を失効させる取り扱いをやめること。
時間雇用教職員から支援職員への応募に際して、支援職員採用後1年間のテニュアトラック(有期雇用)期間を経て不採用となった場合、既に行使している無期雇用の地位が失効することについて同意書の提出が求められている。これは極めて不当な取り扱いである。何故なら、無期転換権を得ている者であっても、その権利を行使していない時間雇用教職員は、支援職員に応募しテニュアトラック(有期雇用)期間後に不採用となった場合も、無期転換権を喪失することはなく、直ぐさま無期転換権を行使することにより、少なくとも何らかの雇用継続する権利を維持できる。労働契約法で正当に認められている無期転換権を行使した者が、待遇改善となる支援職員への登用にあたり不利に取り扱われることは極めて不当である。こうした取り扱いは、無期転換権行使を萎縮させ、無期転換権行使の事実上の妨害になり違法である。京大法人は、こうした違法行為を直ちに止めるよう強く要求する。
3.10 [新規事項]支援職員採用にあたっての1年間のテニュアトラック期間は、京都大学での勤務歴のない新規採用者に限定し、現に勤務している教職員からの登用する場合には適用しないこと。
これまでの団体交渉での回答からすると、京大法人は「支援職員と時間雇用教職員は別制度であるので、支援職員としての職務能力を見極める必要がある」とでも言うのであろうが、そうであれば失当である。時間雇用教職員とはいえ、長期にわたり勤務してきた者について、支援職員に期待される能力や適性を判断できないということであれば、それは業務評価能力を著しく欠いていると言わざるを得ず、むしろ見極めるべきは当該管理職者の資質であろう。
3.6の要求趣旨でも述べたように、支援職員導入趣旨に同一労働・同一賃金を指向することが含まれるのであれば、時間雇用教職員からの登用が優先されるべきである。集団的に遂行される大学業務において必要とされるのは狭義の「職務能力」だけではない。人柄や職場内でのコミュニケーション能力、他の教職員との信頼関係など、広義の職務能力は重要な要素である。満5年、或いはそれ以上の長期にわたり勤務してきた時間雇用教職員は、広義の職務能力についても既に試され済みであるのだからテニュアトラック期間は不要である。
3.11 [新規事項]光熱費の高騰により研究室等への配分が減額され、支援職員の採用や時間雇用教職員の雇用継続に悪影響が及んでいる部局が見られるため、部局に光熱費高騰相当の資金援助を行うこと。
とりわけ消費電力が大きい実験装置等を多く稼働させる必要がある部局においては、光熱費の高騰は研究費を圧迫する深刻な問題である。光熱費の財源は時間雇用教職員の雇用経費や支援職員の待遇改善に充てる経費と同源である場合が多く、支援職員採用や時間雇用教職員の雇用継続にも深刻な悪影響をもたらしている部局が見られる。研究室・教室の人員縮小は、教育・研究の効果や成果にも直結する問題であるので、本部からの資金援助を求めるものである。