団体交渉を申し入れました

 職員組合は2022年9月21日付けで、下記、要求事項にかかる団体交渉を申し入れました。交渉日が固まり次第、組合員のみなさまにご案内いたします。

★220921_団体交渉申入
https://1drv.ms/b/s!AmKvrfs6CciGjNkylqaUN40sUNcB4w?e=hvMYIb
(下記、要求書・要求趣旨のテキストです。)

2022年9月21日

京都大学総長 湊 長博 殿

   京都大学職員組合                  
中央執行委員長 林 重彦           

団体交渉申入

 団体交渉の方式及び手続に関する労働協約第5条に基づき、下記の要求事項にかかる団体交渉を申し入れます。早急にご準備いただきますよう、お願いいたします。また、交渉日までに文書による一次回答をご提示いただきますよう要請いたします。

1 時間雇用教職員の待遇改善要求にかかる団体交渉の不誠実対応を謝罪すること。

2 時間雇用教職員の待遇改善にかかる要求
2.1 時間雇用教職員に現在支払われている時給を30%以上ベースアップすること。および、経験・能力に応じた定期昇給制度を2023年度より導入すること。
2.2 時間雇用教職員・再雇用職員に常勤職員に準じた扶養手当を遅くとも2023年度より支給すること。
2.3 時間雇用教職員および再雇用職員に夏季・冬季それぞれに1ヵ月(年2ヵ月)分相当の一時金を支給すること。
2.4 少なくとも2022年9月以前に採用された時間雇用教職員については、例外措置の適用を継続すること。

3 支援職員について、学内勤務の時間雇用教職員の応募および部局推薦型の採用を促進させるための要求
3.1 支援職員採用にあたって、諸手当支給等にかかる本部からの経費補助は恒久的措置にすること。
3.2 時間雇用教職員から支援職員の登用に際して設けられるテニュアトラック(有期雇用)期間後の選考により不採用とした場合も、少なくとも支援職員のテニュアトラック期間直前の時間雇用教職員の待遇で雇用継続をすること。
3.3 支援職員採用にあたっての1年間のテニュアトラック期間は、京都大学で勤務歴のない新規採用者に限定し、現に勤務している教職員から採用する場合には適用しないこと。
3.4 支援職員の通常選考にあたっては、現に勤務する時間雇用教職員からの採用を優先すること。


以上

要求趣旨

1 時間雇用教職員の待遇改善要求にかかる団体交渉の不誠実対応を謝罪すること。
【要求趣旨】
 前回(2022年7月14日)の団体交渉において担当理事から「支援職員は新たに設けた新規採用する職種であり、時間雇用教職員を移行させるものではない」、「現在の時間雇用教職員の待遇は、判例に照らしても同一労働同一賃金原則に適っており、少なくとも反していない」とする、極めて不誠実な回答がなされた。
 2020年12月3日および2021年3月25日の団体交渉において、職員組合は働き方改革関連法や同一労働同一賃金にかかる最高裁判例(日本郵便事件など)を指し示して、時間雇用教職員の待遇改善を求めた。これに対し、当時の担当理事であった平井明成氏は、2020年12月3日の団体交渉においては「検討の準備をしている」と回答し、2021年3月25日の団体交渉では「戦略調整会議で集中的に検討を行っている」とし5~6月に具体的な案内の見通しを示していた。そして、2021年4月13日の部局長会議において「教員の事務負担軽減策(時間雇用職員制度の見直し)に関する検討結果について」(令和3年3月15日 戦略調整会議)が示された。同文書においても「大学を取り巻く状況として、令和2年4月より働き方改革関連法が施行されたことに伴い、正社員(無期雇用フルタイム労働者)と非正規社員(短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者)との間の不合理な待遇差が禁止されることとなった。今後、本学としても同一労働同一賃金の原則の観点から、時間雇用職員等に対して適切な処遇をしなければ、大学としてコンプライアンス違反を問われることになるだけではなく、本学の処遇が他と比較して劣悪になることで、優秀な人材を確保できなくなる懸念もある。」と述べていた。こうした記述は2021年3月25日の団体交渉の理事回答と平仄の合う方向性の打ち出しである。この戦略調整会議の検討結果を基に検討が進められ、新設職として「支援職員(仮称)制度」、「支援職員」と制度設計が重ねられていった。
 今般導入される支援職員制度が「新たに設けた新規採用する職種であり、時間雇用教職員を移行させるものではない」「現在の時間雇用教職員の待遇は、判例に照らしても同一労働同一賃金原則に適っており、少なくとも反していない」とする時間雇用教職員の待遇改善を度外視するものであるならば、団体交渉経過の前提を根底から覆すものであり、2021年3月25日団体交渉の理事回答は職員組合を欺いたことになる。結果として団体交渉要求の回答を1年以上も遅延させる(未だ回答されていない)極めて悪質な不当労働行為であり、釈明と謝罪を求めるものである。

2 時間雇用教職員の待遇改善にかかる要求
【要求趣旨】
 この要求事項群は、2021年3月25日の団体交渉で取り上げたが、未だに回答されていない要求項目の趣旨をそのままに現状に即した表現で再要求するものである。

2.1 時間雇用教職員に現在支払われている時給を30%以上ベースアップすること。および、経験・能力に応じた定期昇給制度を遅くとも2023年度より導入すること。
【要求趣旨】
 時間雇用教職員を例にすると、俸給表を基礎としない現在の時間給の体系への就業規則改正が施行されたのが2005年4月であり、事務補佐員の場合、900円〜1200円の時給テーブルが設定された。その後、2014年4月に通勤手当の廃止と共に、900円〜1600円の時給テーブルへと改められた。しかし、実際に募集される事務補佐員の多くが、従前通り1000円〜1200円の範囲の時給設定である。
 一方、京都府の最低賃金は2005年に時給682円だったものが、今年10月から968円となり、実に約4割を超える上昇率である。しかし、京都大学の時間雇用職員については設定される時間給は、2005年以降据え置かれたままである。
 言うまでもないが、最低賃金とはその地域において、職歴や学歴などに関わらず最も単純な業務に従事する労働対しても支払わなければならない最低額の時間給である。こうしたことから、この十数年で本学の時間雇用教職員の時間給は地域の賃金相場から相対的に下がり続けているといえる。また、時間雇用教職員が担う業務は、この十数年間の定員削減なども相まって、密度や求められる業務水準も高まってきており、こうした状況を含めて勘案すると、最低賃金の上昇幅以上に実質的な賃金は下がっていると考えられる。
 本学は、本邦でも有数の高度教育研究機関である。京都大学法人が団体交渉で繰り返し述べる「臨時的、季節的および補佐的業務」という主張を仮に受け入れたとしても、日本社会に存在する「最も単純な業務」より、相当程度に高度な知見やスキルを必要とする。こうした業務に従事する優秀な人材を勤務させるにあたり、最低賃金周辺の時間給の処遇などあり得ない。
 また、業務の経験年数を重ねれば、その業務遂行レベルは一定程度まで確実に向上する。しかし、俸給表に依らない賃金設定がされている時間雇用教職員などには昇給の仕組みが設けられておらず、業務に対するモチベーションを維持することを困難にさせている。2018年12月28日に厚生労働省が示した「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」の昇給にかかる記述には
“通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間で将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」等の主観的又は抽   象的な説明では足りず、賃金の決定基準・ルールの相違は、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものの客観的及び具体的な実態に照らして、不合理と認められるものであってはならない。”
 とされている。京都大学法人はこれまでの団体交渉で時間雇用教職員にかかる昇給を含む賃金要求に対して、「時間雇用教職員の業務は、補佐的、臨時的、季節的業務」云々の形式的・主観的・抽象的な説明に終始し、常勤職員との位置づけが異なると述べてきたが、そのような言い逃れは、もはや通用しない。支援職員制度導入に伴い、本年10月から採用する新制度の時間雇用教職員の雇用期間は1年以内とされているが、それ以前から勤務する時間雇用教職員は長期に恒常的な業務を担っている。支援職員制度の導入やそれに伴う時間雇用教職員の雇用制度を見直したとしても、これまで勤務してきた時間雇用教職員の不合理な待遇が「なかったこと」にはならない。時間雇用教職員らが担う業務の客観的及び具体的な実態に照らして、勤務年数に応じた昇給が行われるべきである。

2.2 時間雇用教職員・再雇用職員に常勤職員に準じた扶養手当を遅くとも 2023年度より支給すること。
【要求趣旨】
 日本郵便の契約社員らに各種手当や休暇が付与されないのは、正社員との不合理な格差を禁じた労働契約法20条に違反するとして争われた3件の訴訟で、2020年10月15日、最高裁第1小法廷において、扶養手当や年末年始手当、夏期冬期休暇、住居手当などを支給しないのは不合理だと認める判決が示された。原審の高裁判決では、これらの手当について「通算5年を超える者」に限定する判示をしていたが、最高裁では、この限定も認めなかった。もはや、雇用形態や雇用期限を理由に、諸手当について不当な格差を設けることは認められない。また、時間雇用教職員の待遇を上回る支援職員制度の導入があったとしても支援職員に採用されない時間雇用教職員の待遇を放置する理由にはならない。

2.3 時間雇用教職員および再雇用職員に夏季・冬季それぞれに1ヵ月(年2ヵ月)分相当の一時金を支給すること。
【要求趣旨】
 非正規雇用の労働者が正規雇用の労働者と同じ業務をしているのに一時金(賞与)や退職金を支給されないのは違法だと訴えている大阪医科大学などの訴訟について、最高裁判所は10月13日、一時金や退職金を支給しないのは、労働契約法20条の「不合理な格差」に当たらないと判示した。職員組合としては不当な判決であると受け止めているが、この判決は非正規職員に対する一時金や退職金の支払いを否定するものではない。
 東京大学においては2021年4月より、本学の時間雇用教職員に相当する短時間有期雇用教職員について、夏冬の2回、それぞれ1ヵ月分相当の一時金を支給する就業規則改正を行った。同一労働同一賃金の趣旨を踏まえた正しい対応であると評価する。東京大学の後塵を拝することとなったのは甚だ不本意であるが、これを機に京都大学においては、東京大学の改善を上回る措置を講ぜられることを期待する。
 仮に東京大学と同様に時間雇用教職員に年2回、2ヵ月分相当の一時金を支給することとなれば、同一労働同一賃金の要請から当然に、再雇用職員にも同等以上の一時金が支給されなければならない。

2.4 少なくとも2022年9月以前に採用された時間雇用教職員については、例外措置の適用を継続すること。
【要求趣旨】
 2022年5月30日の団体交渉での同要求に対して「例外措置を継続するのではなくて、早期に支援職員制度を確立することが有益である、という風に考えているところでございます。」とする回答があったが、研究室や事務部で勤務していると思われる時間雇用教職員(事務補佐・技術補佐・技能補佐・教務補佐)は2434人(2022年度始期)在籍しているが、それに対して10月からの支援職員募集数は、その1割にも満たないのが実態であり「早期に支援職員制度を確立する」とする方針との乖離があまりにも大きい。
 常識的な倫理観を有する者であれば、長期に職場に大きく貢献しながらも低廉な勤務条件に遇さざるを得なかった時間雇用教職員を、今般導入される支援職員制度を活用して採用していくことを考えるであろう。
 支援職員の諸手当支給等にかかる本部からの経費補助も、時間雇用教職員と支援職員との人件費差をすべて埋めるものではなく、定期昇給などについては部局にとって将来の増加経費となり、その財務的制約により支援職員として採用すべきと考える時間雇用教職員を一度に全て採用することは困難であり、段階的な採用を考えざるをえない。そうしたとき、より倫理的な行動をしようとする者であれば、不遇の期間がより長期に渡る時間雇用教職員(例外措置適用者や2005年4月以前採用者)を先に支援職員に採用しようとすることは不自然なことではない。しかし一方で、こうした長期勤務の時間雇用教職員と遜色ない働きをする通算雇用期間が5年に満たない時間雇用教職員も存在する。支援職員を段階的に採用するしかないという前提に立つならば、前者の採用を優先した場合、その間に後者の5年満期が到来し、有為な人材を手放さなくてはならないという二律背反に直面する。こうした状況を避けるため「時間雇用教職員間の不公平が生じるので支援職員の部局推薦型採用は行わない」という本末転倒な方向性を示す管理職者も存在している。
 時間雇用教職員の年齢分布は画一ではなく、一般論として長期勤務者ほど雇用上限(定年)年齢までに残された年数が短いため、部局で負担可能な支援職員ポストを循環的に活用することができれば、有為な人材をより長く雇用継続できる可能性があるが、10月以降の例外措置の廃止がそれを阻むことになる。それは、総体として教員の事務負担軽減という目的に反する結果をもたらすため、支援職員制度が定着するまでの当面の間の繋ぎ措置として例外措置の継続を求めるものである。

3 支援職員について、学内勤務の時間雇用教職員の応募および部局推薦型の採用を促進させるための要求
3.1 支援職員採用にあたって、諸手当支給等にかかる本部からの経費補助は恒久的措置にすること。
【要求趣旨】
 この10月より、(事務職員(特定業務)からの移行を除く)支援職員の採用が始まるが、部局推薦型採用に二の足を踏む現場が多くみられる。支援職員制度は同一労働同一賃金に向けた取り組みであることは労使の共通認識であると理解するが、それ故に人件費負担が増すことも必定である。無期雇用契約となる支援職員は長期雇用が想定される制度であるが、増加する人件費負担が数年しか保障されていないとなれば、部局がその採用に二の足を踏むのも当然である。こうした不安要素が解消されなければ、支援職員制度導入の目的である、教員の事務負担軽減も実現しない。制度本来の目的を達するためにも、支援職員の諸手当支給等にかかる本部からの経費補助を恒久措置とすることを求める。

3.2 時間雇用教職員から支援職員の登用に際して設けられるテニュアトラック(有期雇用)期間後の選考により不採用とした場合も、少なくとも支援職員のテニュアトラック期間直前の時間雇用教職員の待遇で雇用継続をすること。
【要求趣旨】
 この10月より、少ない採用数ではあるが、通常選考による支援職員の募集・採用が行われている。しかし、長期に勤務してきた時間雇用教職員が応募に二の足を踏むケースが多くみられる。それは、せっかく獲得した無期転換による雇用安定が損なわれるリスクが存在するからである。しかも、ほぼ同じ条件であるにもかかわらず、無期転換権を得ていても、それを行使していない時間雇用教職員にはそのリスクは発生しない。正当な権利行使を不利益に扱う採用制度は許されない。
 例外措置の趣旨からしても、長期勤務の時間雇用教職員は、真っ先に支援職員への採用を促す対象であるはずだが、京大法人は不公正なリスクを提示して応募への意思を挫こうとしており、極めて不当である。直ちに改善することを求める。

3.3 支援職員採用にあたっての1年間のテニュアトラック期間は、京都大学で勤務歴のない新規採用者に限定し、現に勤務している教職員から採用する場合には適用しないこと。
【要求趣旨】
 前回の団体交渉での「支援職員は新たに設けた新規採用する職種であり、時間雇用教職員を移行させるものではない」「現在の時間雇用教職員の待遇は、判例に照らしても同一労働同一賃金に適っており、少なくとも反していない」とする理事回答は、これまでの団体交渉経過を無視した、不当労働行為に値する暴言である。この回答を前提に要求を引き下げるわけにはいかない。
支援職員の正規の手続を経て採用に至った者は、募集要項で必要とされた職務能力の条件をみたしている。こうした狭義の職務能力が認めながらも、テニュアトラック期間を設ける趣旨は、選考面接で知り得なかった広義の職務能力を見定める必要があるためであろう。広義の職務能力とは、集団的に遂行される大学業務における、人柄や職場内でのコミュニケーション能力、共に勤務する教職員との信頼関係構築などが挙げられるが、満5年、或いはそれ以上の長期に渡り勤務してきた時間雇用教職員は、こうした能力も既に試され済みであるのだからテニュアトラック期間は不要である。
 そもそも、支援職員よりも高い職務能力を求められ賃金も高い一般職俸給表が適用される新規採用の事務職員でさえ、1年間のテニュアトラック期間が設けられていないのに、京大内で長期の勤務歴のある支援職員にまで1年のテニュアトラック期間を設定することは著しく均衡に欠き、これこそ同一労働同一賃金の考えに背く措置である。

3.4 支援職員の通常選考にあたっては、現に勤務する時間雇用教職員からの採用を優先すること。
【要求趣旨】
 前項の要求と同様、職員組合と京大法人との交渉関係においては、時間雇用教職員の待遇改善の方策として示されたのが支援職員制度である。したがって制度の枠組みとして本学に勤務歴のない全くの新規採用が可能であるとしても、先ずは現に勤務している時間雇用教職員を優先して採用することが当然である。

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