棄権せず投票しましょう 7/10は参議院議員通常選挙の投票日です

 2022年7月10日(日)は参議院議員通常選挙の投票日です。6月23日(木)から7月9日(土)間に不在者投票をすることもできます。

 京大職組としては組合員に対して、個別の政党や候補者への投票の要請はいたしません。

 一方、国立大学における組合運動は、大学・高等教育政策や労働政策に極めて大きな影響を受けます。これらの政策に対しては組織的な考え有し、日頃から主張を重ねているところです。これらにかかる法律は全て国会によって決められ、政府によって遂行されます。

 参議院選挙を機に、これまでの大学・高等教育政策および労働政策に関する京大職組としての評価・見解を示しますので、投票のご参考にしてください。

  1. 2004年の国立大学法人化以降、国立大学の基盤的経費である運営費交付金を削減し続けてきたことは非難に値する。
  2. 競争的資金比率を過度に拡大したことが日本の大学全体の研究力を衰退させたにもかかわらず、それをさらに強化する国際卓越研究大学制度と大学ファンドの過度な傾斜配分は適切な政策ではない。
  3. 国際卓越研究大学の認定と大学ファンド運用益の配分の要件に、学問の自由・大学の自治を阻害する要素が含まれており強い懸念を表明する。
  4. 有期雇用契約から無期転換権を認める法整備には一定の評価をするが、無期転換権発生前に雇い止めをする脱法行為が大学・研究機関でも横行している。実効的な雇用安定を図る更なる改正が必要である。

〇国立大学への予算配分について

 支援スタッフの業務の継続性が損なわれることにより教員・研究者への事務負担が大きくなっています。加えて競争的資金への申請のために膨大な事務量が必要になり、教育・研究時間を圧迫しています。
 2004年の法人化以降、国立大学の基盤的経費である運営費交付金を一貫して削減し続けたことは、全く評価できず強い非難に値します。基盤的経費の削減により、教育・研究・医療現場は常勤職員の定員削減を余儀なくされ、非正規雇用と有期雇用を増大させ雇用と業務を著しく不安定にしました。

こうした誤った政策を継続した結果、日本の大学の国際的地位の著しい低下をまねきました。こうした事態の解決を強く求めます。

〇大学ファンド・国際卓越研究大学について

 これまでの政策の反省から、大学への資金投入を増加させようとする意図は理解できるものの、その手法には反対です。10兆円規模の大学ファンドの元手は財投や政府支出、民間からの借入、JST債券など、税金や借入が原資となっていますが、運用結果の責任の所在が明確ではありません。また、大学ファンドの支援対象となる「国際卓越研究大学」の認定を受けるためには、外部者が半数以上を占める合議体を設けることや、3%程度の事業規模の成長を達成が要件とされています。支援対象の選定も政治主導になっており、ピアレビューによる研究評価が反映されません。こうした要件や仕組みは、大学の自治・学問の自由を阻害し、短期的な事業成長に資さない基礎研究や人文社会学分野の衰退をもたらします。

【参考】国際卓越研究大学法案の衆議院・参議院委員会採決の賛否
 賛成:自由民主党、公明党、日本維新の会、国民民主党
 反対:立憲民主党、れいわ新選組、日本共産党

〇雇用安定政策について

 これまで判例・裁判例で積み重ねられてきた有期雇用契約労働者の雇い止め制限法理が、労働契約法の改正により法定化されたことは、一定の評価をします。しかし、無期転換権が発生する前に雇い止めをする脱法行為が容易であり、多くの国立大学や理化学研究所などの研究機関で有期雇用の研究者や支援職員が大量に雇い止めされる事態を招いています。雇用安定のためのルールを逆手にとって脱法的な雇い止めをする研究機関の姿勢も大きな問題ですが、その背景には上述のような基盤的経費の不足があります。こうした脱法的雇い止めの発生は容易に予見できたことであり、重大な立法上の不備があったと言わざるを得ません。実質的な雇用安定が図られるよう改善を求めます。

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