京都大学職員組合 第101回定期大会宣言
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以下、大会宣言のテキストです。
京都大学職員組合 第101回定期大会宣言
私たちは、この第101回定期大会を迎えるにあたって、あらためて労働者の権利の保護と生活権の保障、そして京都大学に民主的なキャンパスを実現することを訴えたいと思います。
私たちは結成以来、これらのことを常に訴えてきました。しかし現状は残念ながらむしろそれとは逆の方向へ進んでいます。
最近の歴史的な円安は物価上昇を引き起こす一方、労働者の賃金レベルは依然として他の先進諸国と比べて低いままであり、実質賃金は 24 カ月の連続マイナスを記録しています。非正規雇用者数の増加などにより生じた大きな所得格差が進んだ社会において、物価上昇の負担は特に所得の低い時間雇用職員や支援職員や学生職員に大きくのしかかり、また有期雇用教職員の生活の更なる不安定化をもたらします。京都大学法人には、京都大学で働くすべての教職員の賃金の引き上げとともに、支援職員制度などの活用を通じた雇用の安定化と同一労働同一賃金を実現するよう求めます。
これまでの運営費交付金の継続的な削減により、業務を維持する職員の減少や有期雇用化が進み、長時間労働の増加や待遇の低下などの労働環境の悪化が見られます。また、労働環境の悪化は働き方を制限するため、例えば男女格差の是正に対しても障壁となり、多様な労働者が働くことを阻害しています。その是正のためには、労働者の権利に基づいた労働環境の整備が不可欠です。言うまでも無く、京都大学の教育と研究は、そこで働くすべての多様な労働者が関わり貢献することにより成し遂げられています。従って、働きやすい職場環境の整備は、京都大学法人が最も必要とするものの一つです。京都大学法人には、より明確な職務内容や業務量の管理や、大きなリソースの配分に基づく人員・職務体制の強化など、働きやすい職場環境の整備を求めます。
この間の報道では、物価上昇による大学の授業料の値上げが取りざたされています。授業料の値上げは、大学で学ぶ学生の多様性を阻害し、本国の教育・研究の先細りを招きます。しかし、授業料の値上げの議論も、元を辿れば、上記の労働環境の悪化を招いている運営費交付金の継続的な削減が原因です。また、京都大学法人が昨年度応募した「国際卓越研究大学」制度も、「選択と集中」の流れの中における運営費交付金の継続的な削減と表裏をなしており、こうした高等教育政策は、学問の自由や大学の自治、労使合意や労使慣行を一方的に毀損する恐れがあるものです。これからの教育・研究の発展のためにも、私たちは、全国大学高専教職員組合と協力しながら政府に対して運営費交付金拡充を求めると共に、京都大学法人に対しても、政府に対する運営費交付金拡充の強い働きかけと、今後、「国際卓越研究大学」へ応募をしないことを求めます。
さらに、私たちはこの国の人権状況がいまだにひどい状況にあることを憂慮します。先般成立した入管法の改悪やLGBT理解増進法案は、そうした状況を改善するどころか、むしろ悪化させるものであり、それぞれの当事者の人権を制限ないし奪うものです。各種の国際的な指標では、日本におけるジェンダー平等の実現が世界のなかでも極めて遅れた状態にあることが示されています。私たちはこの日本において、すべての人の人権が守られ、それぞれの人がそれぞれにふさわしい扱いを受けることができる国の実現を目指すとともに、政府と京都大学にはそのために必要な措置を執ることを要求します。
以上を本大会は宣言します。
2024年6月29日 京都大学職員組合第101回定期大会