【ブックトーク】石原吉郎--シベリア抑留詩人の生と詩|著者:細見 和之 氏
石原吉郎(1915-77)はシベリア抑留を体験したのち、本格的に詩を書き始め、第1詩集『サンチョ・パンサの帰郷』を発表して、日本の戦後を代表する詩人という位置づけを得ます。しかし、一般に石原の著作で多くのひとに読み継がれているのは『望郷と海』というシベリア体験にもとづくエッセイ集です。
『石原吉郎--シベリア抑留詩人の生と詩』(中公文庫、2025年3月)は、石原の詩にも焦点を置いて、石原のシベリア体験と詩作の関係に新たな光をあてたものです。石原の詩の「言葉」が石原の意識を超えたところでその言葉の原郷としてのシベリアを追憶していた――それが著者の捉え方です。
一見難解な石原の詩をどう読み解くか、自ら詩人でもある著者が分かりやすく解説することを心がけます。
石原吉郎 シベリア抑留詩人の生と詩
著 者:細見 和之
出版社:中公文庫 2025年3月24日発売
ISBN-13 : 978-4-12-207633-4
【著者について】
● 細見 和之(ほそみ・かずゆき)
1962年兵庫県丹波篠山市生まれ。大阪大学助手、大阪府立大学(現、大阪公立大学)准教授、同教授を経て、2016年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。大阪文学学校校長、神戸・ユダヤ文化研究会代表。人間科学博士(大阪大学)。専門はアドルノを中心とするフランクフルト学派を軸にしたドイツ思想。著書に『フランクフルト学派』(中公新書)、詩集に『家族の午後』(澪標、三好達治賞)、『ほとぼりが冷めるまで』(同、藤村記念歴程賞)など。
※略歴は講義時点のものです。