京都⼤学職員組合:総⻑選挙にかかわる公開質問状

2026年5月26日

京都⼤学職員組合:総⻑選挙にかかわる公開質問状

 本学は、国際卓越研究大学に応募し認定候補となりました。同応募に当たり本学現執行部はデパートメント制の導入を打ち出しています。これは本学がこれまで経験したことのないような組織変更を伴うと思われ、教職員の労働条件にも大きな影響を及ぼすと思われます。
 一方、労働市場は賃上げ基調にあるものの、国立大学においては運営費交付金予算が増えないことが制約となり、国立大学の人材獲得の競争力低下が懸念されます。
 大学の教員・研究者の卵は、学生・大学院生でありますが、最近は学費の値上げや減免など、各大学の様々な戦略を描いており、京都大学としての方向性も注目されています。
 政治情勢に目を向けると、政府は運営費交付金などの大学の基盤経費は大きく増やさないものの、防衛装備にかかる研究費の競争的資金の割合を増やしてきており、これに呼応するように防衛装備を他国に移転する政策を進めています。
 市民社会からは、戦前からの歴史のある国立大学の過去の研究の在り方について、批判が寄せられ訴訟にも発展している問題もあり、本学がこうした問題にどう向き合い、対話するのかについて社会からの注目が集まっています。
 上記の様に、本学はこれまで以上に様々な問題・課題に向き合い、解を見出していかなければなりませんが、その方向性を定めていくためには学内の対話が大変重要であると考えます。しかしながら、近年、学内の対話の醸成がないまま、物事が決まっていく印象があり、様々な軋轢も生じています。
 こうした情勢を踏まえ、次期総長候補となられた方々に、下記の項目について質問状を作成いたしました。次期総⻑候補者の⽅々のご⾒解をぜひうかがわせていただきたく思います。

〇 質問1:京都大学の存在意義と進むべき方向性について、昨今の政府の科学技術、高等教育政策を踏まえてお考えをお示しください。

〇 質問2:本学研究組織のデパートメント制への改組について、大まかなタイムスケジュールも含めたビジョンをお示しください。

〇 質問3:教育・研究支援組織の人材確保と流出防止について
 近年の賃上げ基調の社会情勢もあり、人材確保が難しくなり流出も懸念されます。一方で、デパートメント制への対応などで、大学運営についてより専門性の高い人材が必要とされます。教職員(正規職員・有期雇用の職員・時間給の職員含む)の現在の待遇の妥当性についてのお考えと、あるべき待遇や評価、それを基礎付ける労働契約の在り方についてお考えをお聞かせください。

〇 質問4:学生・大学院生の教育環境について
 近年、他の国立大学において授業料や留学生学費の値上げが見られました。一方で、公立大学においては住民学生の学費を減免する動きもあります。国際卓越大学に指定された大学の学生にはSpringが適用されなくなると言われています。こうした状況も踏まえ学生・大学院生の教育環境の拡充についてお考えをお聞かせください。

〇 質問5:軍事研究について
 「京都大学における軍事研究に関する基本方針」(2018年3月28日制定)では、「本学における研究活動は、社会の安寧と人類の幸福、平和へ貢献することを目的とするものであり、それらを脅かすことに繋がる軍事研究は、これを行わないこととします。」と定めています。この基本方針を維持すべきとお考えですか?

〇 質問6:京都大学の研究活動の社会的責任について
 近年、琉球遺骨問題・アイヌ遺骨問題など、大学が過去に行った研究活動の適否について司法判断が下され、他の国立大学ではこれに応じる動きもみられます。こうした情勢を踏まえ、京都大学の過去の研究活動と将来の研究活動について社会的責任の在り方についてお考えをお示しください。

〇 質問7:吉田寮について
 吉田寮裁判の京都地裁判決は大学と寮自治会との間の「確約書」の法的拘束力を認め、「平成24年……9月18日付け確約書では、副学長により、本件建物を補修することが有効な手段であることが認められており、平成24年の報告書も取壊しを前提として耐震診断がされたとは認められない」と明言しました。これを受けて昨年8月に成立した和解条項も、大学は学生らの「建物明渡し後、速やかに耐震工事に着手し」、「京都大学ホームページにおいて、可能な範囲で工事計画を公表」するとしています。しかし、京大法人は補修計画を公表せず、4月14日に「現棟を建て替え」、「創出されるキャンパス空間は、全学生の共有財産として……活用する」方針を発表しました。確約書および和解に法的拘束力があることとの関係をどのように考えますか。

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