【ブックトーク】中学生から知りたいパレスチナのこと|著者:小山 哲氏、藤原 辰史氏
岡真理さん(早稲田大学)、小山哲さん(文学研究科)、藤原辰史さん(人文科学研究所)の共著『中学生から知りたいパレスチナのこと』(ミシマ社、2024年)について、小山さん、藤原さんと大河内泰樹さん(文学研究科)が語らいます。
ガザ、そしてパレスチナをめぐる問題は「宗教対立」でもなければ、「土地をめぐる争い」でもありません。近代ヨーロッパの500年の歴史、そのなかの西洋中心主義、レイシズム、植民地主義の歴史に即して理解すべきことです。
中・東欧史を専門とする小山さん、ドイツ史を専門とする藤原さんのお話にそくして、いまパレスチナで起きていることを考えます。
【ブックトークで使用したスライド】ブックトークスライド.pdf

著 者:岡真理・小山哲・藤原辰史
出版社:ミシマ社 2024年7月26日発売
ISBN-10 : 4911226064
ISBN-13 : 978-4911226063
● 人文学者の責任
小山「西洋史研究者の自分はなぜ、ヨーロッパの問題であるパレスチナの問題を、研究領域の外にあるかのように感じてしまっていたのか」
藤原「力を振るってきた側ではなく、力を振るわれてきた側の目線から書かれた世界史が存在しなかったことが、強国の横暴を拡大させたひとつの要因であるならば、現状に対する人文学者の責任もとても重いのです」
● もくじ
Ⅰ 私たちの問題としてのパレスチナ問題
岡真理「ヨーロッパ問題としてのパレスチナ問題――ガザのジェノサイドと近代五百年の植民地主義」
藤原辰史「ドイツ現代史研究の取り返しのつかない過ち――パレスチナ問題はなぜ軽視されてきたか」
Ⅱ 小さなひとりの歴史から考える
小山哲「ある書店店主の話――ウクライナとパレスチナの歴史をつなぐもの」
藤原辰史「食と農を通じた暴力――ドイツ、ロシア、そしてイスラエルを事例に」
Ⅲ 鼎談 『本当の意味での世界史』を学ぶために
おわりに(小山哲)
本書成立の経緯(藤原辰史)
【著者について】
● 小山 哲(こやま・さとし)
1961年生まれ、1989年、京都大学文学研究科博士後期課程研究指導認定退学、同年、京都大学文学部助手、島根大学法文学部助教授、京都大学人文科学研究所助教授を経て、2025年1月現在、京都大学文学研究科教授。研究テーマは、ポーランド史、とくに近世ポーランド社会・文化史。主な著作に『ワルシャワ連盟協約(一五七三年)』(東洋書店)、『大学で学ぶ西洋史[近現代]』(ミネルヴァ書房)、『中学生から知りたいウクライナのこと』(藤原辰史と共著)など。
● 藤原 辰史(ふじはら・ たつし)
1976年生まれ、2002年、京都大学人間・環境学研究科中途退学、同年、京都大学人文科学研究所助手、東京大学農学生命科学研究科講師を経て、2021年4月現在、京都大学人文科学研究所准教授。研究テーマは、食と農の現代史。主な著作に『ナチスのキッチン』(共和国、河合隼雄学芸賞)、『給食の歴史』(岩波新書、辻静雄食文化賞)、『トラクターの世界史』(中公新書)、『分解の哲学』(青土社、サントリー学芸賞)、『縁食論』(ミシマ社)、『農の原理の史的研究』(創元社)、『歴史の屑拾い』(講談社)、『植物考』(生きのびるブックス)など。
※略歴は講義時点のものです。