【ミニ講義】再建されるべき「大学の自治」とは−大学私物化に抗する公共性の再建を目指して−

【YouTube】https://youtu.be/ssuctFGG8Z0

【演 題】「再建されるべき「大学の自治」とは? ―大学私物化に抗する公共性の再建を目指して―」

【日 時】2021年12月7日(火)12:05~

【講 師】駒込 武 氏(教育学部支部|教育学研究科 教育科学専攻)

【講義概要】「大学の自治」という言葉が死語になりつつある。
 今年8月には、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が「稼げる大学」のための「最高意思決定機関」を設置するという方針を明らかにした。総長よりも強い権限を主に「学外」者で構成される「最高意思決定機関」に与えるという構想である。
 よりよい研究や教育や医療の探求が結果として社会に利益をもたらし、大学の資金を潤沢にすることは、もちろん歓迎すべきことだろう。だが、近視眼的な視点で 「稼ぐ」ことが大学の目的ではない。そんなことを目的としたら、むしろ研究・教育・医療の土壌をやせ細らせ逆効果を生み出すであろう。そのことは、研究・教育・医療の現場にあるならば誰にもわかることだ。
 だが、それを明言してしまうと予算が減らされるかもしれないという恐れの中にわたしたちはいる。「特権的」な立場の大学関係者が「既得権益」を守ろうとしているのではないかと攻撃されてしまう。どうしたらよいのだろうか? 出来合いの回答はないが、それでも、まず京都大学で何が起こっているかを確認すると同時に、それが京都大学限りのものではなく政府のつくった仕組みの中で半ば必然的に生じている事態を認識する必要がある。その上で、再建されるべき「大学の自治」のあり方を考えてみたい。

【講師略歴】駒込 武(こまごめ たけし)東京大学大学院教育学研究科修了、教育学博士、
お茶の水女子大学文教育学部講師・助教授、京都大学大学院教育学研究科助教授・准教授を経て2013年より教授。
専門は植民地教育史、台湾近現代史。主な単著に『世界史のなかの台湾植民地支配』(岩波書店、2015年)、
共編著に『戦時下学問の統制と動員』(川村肇・奈須恵子と共編、東京大学出版会、2011年)、
訳書に『台湾、あるいは孤立無援の島の思想』(みすず書房、2021年)等。

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