【ミニ講義】「生体機能と量子論」
【YouTube】https://youtu.be/NuoH5bTevCE
【演 題】生体機能と量子論
【日 時】2022年10月26日(水) 12:05~
【講 師】林 重彦 氏(理学部支部|理学研究科 理論化学・生物物理学)
【講義概要】生命活動を支える生体分子は、様々な形で与えられるエネルギーを効率良く使い、物質や情報の変換・制御などの顕著な分子機能を発揮する。40億年の進化の洗練を経て精緻な分子構造に織り込まれた生体分子の機能性は、多くの場合、人工的に合成された分子のそれを遥かに凌駕する。
一方で、生体分子は物質である。その機能がいかに顕著であろうとも、それは物質の物理法則に厳格に規定される。従って、その神秘的にさえ映る顕著な生体分子機能は、原理的には、物質の物理をもって理解することが可能である。しかし、問題は、複雑さである。特に、多くの生体分子機能は直感的な理解が難しい量子論による考察が必要となる。
しかし、この困難は過去半世紀にわたるコンピュータの指数関数的進歩により回避されてきている。本講演では生体分子と量子論の基礎を概説し、それに基づくコンピュータシミュレーションにより生体分子機能の理解や制御がどこまで進んでいるかを解説する。
【講師略歴】林 重彦(はやし・しげひこ)1992 年北海道大学理学部卒業、1997年京都大学大学院理学研究科博士課程修了。博士(理学)。その後、京都大学、名古屋大学、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、及び京都大学福井謙一記念研究センターでの博士研究員を経て、2005年に京都大学大学院理学研究科化学専攻に准教授として着任。現職は教授。専門分野は理論化学・生物物理学。