2026総長選考 候補者への公開質問状(学生部会)の回答
学内予備投票を経て、意向調査に向けて総長選考・監察会議が次期総長候補として絞り込んだ6名の候補者に対して、職員組合学生部会は4学部自治会執行部と連名の上、公開質問状を送り3名の候補者より回答を得ましたのでここに公開します。ご多忙の中、ご回答いただいた候補者の方々に御礼申し上げますと共に、学内投票権者のみなさんの参考になれば幸いです。(回答の掲載順は氏名の五十音順)
↓ 260608_組合学生部質問状回答一覧表
https://1drv.ms/b/c/86c8093afbadaf62/IQCUWPGAn6EpQ5GkrLjfu5xQAaSwKjm51A4v7dFYHVIAklA?e=lWaEMD
質問1:2016年2月まで、大学当局内の情報を学生に公開し、意見交換を行う場として、情報公開連絡会が毎月開催されていましたが、川添信介理事(当時)により中断されて以降、今に至るまで開催されていません。京大職組学生部としては、本学の基本理念である社会的な説明責任を果たすためにも、構成員たる学生に十分な情報公開の機会を設けることは重要であると考えます。
そうした中で、情報公開連絡会、ないしそれに準じた情報公開の機会を再開することについては、どのようにお考えですか。
〇 質問2:【対話に関する考え】
本学は基本理念として対話の重視を定めていますが、最近は学生を含む当事者との対話が十全ではない事例が散見されます。直近では、学部生向け授業料減免制度の新入生適用除外や、学生寄宿舎吉田寮の建て替え・跡地「有効活用」方針について、学生を含む当事者への意見聴取の機会すらなく発表されるという事案がありました。現在大学当局は、学生意見箱を通じた情報発信を対話の手段とみなしているようですが (※1)、これは全く直接的なコミュニケーション手段でなく、到底本質的な対話となりえません。
京大職組学生部としては、本学が抱える諸問題について、本学の基本理念に沿い、学生を含む当事者との直接的な対話を重視すべきと考えます。この点について、どのようにお考えですか。
※1 学生意見箱(2025.2.11)「学生と大学上層部との対話の再開に向けて」(https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/inline-files/A06043-2cb4cd5b2ecc6e6828e5913409098313.pdf)
〇 質問3:【院生向け経済支援】
仮に国際卓越研究大学に認定された場合、博士後期課程大学院生向けの経済支援(いわゆる「SPRING プログラム」)が打ち切りないし大幅に縮小されるのではないかという懸念があります。現に東北大学では、博士後期課程の院生への経済支援が一律支給となったものの、支給額が月額10 万円となっており、実質的な減額が生じています。本学における国際卓越研究大学下での院生への経済支援について、どのようにお考えですか。
〇 質問4:【雇用に関する問題】
TA・RA・OA など、本学は学生・院生を様々な形態で雇用しており、とりわけ大学院生の生活を実質的に支える役割を果たしています。一方、国際卓越研究大に認定された場合、大学ファンドの運用益に基づき助成金が配分されるため、財源が現在より不安定化することとなります。そうした中で、どのような雇用の安定化策をお考えですか。
質問項目ごとの各候補者の回答
(浅野 耕太 候補より 冒頭に以下の通りご記述いただきました)
最初に、学生・大学院生が京都大学の重要な構成員であり、皆さんが本学の教育研究環境のあり方について意見を述べることは、大学にとって重要な意味をもつと考えています。そのうえで、現在私は本学全体の意思決定に関与できる立場におらず、個別事案について何かを約束することはできません。一教員として、情報公開、対話、学生支援、雇用・処遇のあり方について、現在の限られた知識の中でどう考えているかを述べたいと思います
質問1の回答:
- 浅野 耕太 候補
情報公開連絡会、またはそれに類する情報公開の機会については、学生が大学の重要な構成員であることからも検討すべき内容と考えます。大学運営に関する情報は、教職員のみならず学生にも関わるものであり、特に教育環境、授業料・奨学金、学生支援、施設整備、キャンパス利用など、学生生活に直接関わる事項については、適切な時期に、わかりやすい形で説明される必要があります。
もっとも、大学運営に関する情報には、個人情報、人事、契約、交渉過程、法務上の問題など、公開に慎重な取扱いを要するものも含まれます。したがって、過去の制度をそのまま復活させることにこだわらず、現在の大学運営に即して、どのような情報を、どの段階で、どのような方法で学生に共有するのが適切かを整理・検討する必要があります。
その意味で、学生に対する定期的な説明と意見聴取の機会を設けることは、大学の円滑な運営を進めるうえで重要であり、情報公開連絡会に準じる仕組みを含め、学生に対する定期的な説明と意見聴取のあり方について、前向きに検討すべきと考えます
- 椹木 哲夫 候補
学生に対する透明性のある情報公開と意見交換の場は、本学の「開かれた対話」の根幹であり、極めて重要であると考えています。かつての「情報公開連絡会」が中断された理由については存じませんが、大学と学生の間にある情報の非対称性は何とかして解消していきたいと考えています。一方で、過去の形式をそのまま復活させるのではなく、現代に合わせた「変化を伴う継承」を図っていきたい考えです。一部の代表者だけでなく、より多くの学生がアクセスしやすく、双方向の対話が実質的に機能する「新しい情報公開と対話のプラットフォーム」を設計していきたいと考えています。
- 立川 康人 候補
学生意見箱を通じて学生の皆様のご意見を伺う窓口を設けています。頂いたご意見を単なる要望として扱うのではなく、大学の運営や判断における貴重な参考資料として受け止めるとともに、適切な情報発信に努めたいと思います。
質問2の回答:
- 浅野 耕太 候補
学生を含む当事者との対話は、京都大学の運営において重要です。学生に関わる制度変更や施設整備、授業料・減免制度、寄宿舎、学生支援などについて、よりよい決定を行うためには、決定後に周知するだけでなく、可能な範囲で、検討段階から学生の意見を把握しうるチャネルを整えておくことが望ましいと考えます。
ただし、大学における「対話」は、特定の団体との交渉によってのみ成り立つべきではありません。学生自治会や学生団体から寄せられる意見は、学生の声の一部として真摯に受け止める必要がありますが、大学には、普段は声を上げにくい学生、留学生、障害のある学生、経済的困難を抱える学生、研究室・部局ごとに異なる状況に置かれた学生など、多様な学生がおり、それらの意見を広く把握する必要があると考えます。 そのためには、まずは学生意見箱のような制度を一つの窓口として活用しつつ、それだけに依存するのではなく、テーマに応じて、説明会、アンケート、オンラインでの意見聴取、部局単位での懇談、学生代表を含む意見交換の場など、複数の方法を組み合わせることが重要です。対話とは、特定の形式を固定的に採用することではなく、学生に関わる課題について、できるだけ広く、継続的に、かつ透明性のある形で意見を聴き、大学運営に反映していく過程であると考えます。その場合にも、大学としての意思決定責任、個人情報・法務・施設管理上の制約、教育研究への影響を踏まえ、課題に応じた適切な手続きと範囲を設定する必要があります。
- 椹木 哲夫 候補
京都大学における「対話の自由」とは、本学の基本理念である「自由の学風」を基盤とし、多様な価値観を持つ構成員が独立した対等な立場で、未完成のアイデアを日常的にぶつけ合い、互いに批判・触発し合う「知の共有プロセス」を意味します。それは単なる情報交換にとどまらず、対話によって既存のパラダイムをゆさぶり、学術の深化や破壊的イノベーションを生み出す源泉となるものと考えます。
- 立川 康人 候補
広く学内のご意見をお聞きすることは重要です。窓口として設けている学生意見箱に寄せられたご意見については関係部署と確実に共有し、改善を検討するプロセスに活かしていく所存です。
質問3の回答:
- 浅野 耕太 候補
博士後期課程の大学院生への経済支援は、京都大学が研究大学として発展するための基盤です。このことは国際卓越研究大学の枠組みでも維持されるべき重要な事項であると考えます。博士課程学生は、単に教育を受ける立場にあるだけでなく、将来の研究を担う存在であり、現在、そして未来の教育研究活動の主体でもあります。
国際卓越研究大学に認定された場合、既存の博士課程学生支援制度との関係や移行措置について、学生に不安が生じないよう、可能な限り迅速に説明する必要があります。その際に制度変更によって、支援の空白や急激な不利益が生じることは極力避けなければなりません。
具体的な支援制度については、国の制度設計や財源の見通しを踏まえて慎重に検討する必要がありますが、本学としては博士課程学生が経済的不安によって研究を断念することのないよう、生活支援、研究費支援、TA・RA 制度、授業料免除等を組み合わせた総合的な支援体制を充実させるべきと考えます
- 椹木 哲夫 候補
組合からの公開質問状の質問4 で回答(※)しています。
※学生・大学院生を取り巻く経済的・制度的な環境が厳しさを増す中、本学独自の教育環境の拡充と、次代の人材を持続的に育成していくことは必須と考えています。ここでは大学院教育に限定して回答します。まず、国からの支援にのみ依存するのではなく、ファンドレイジングを強化して独自の基金を形成し、その運用益を大学院生や若手研究者の支援に直接還元する仕組みを確立することで、資金と価値の好循環による独自の経済的支援を実現したいと考えています。次に、デパートメント群の現場との協議により、「グラジュエート・ディビジョン」の導入によって大学院教育を一元管理し、特定の教員による囲い込みを防ぐことで、学生が学部の壁を超えて最適な指導者と環境を自由に選択できる流動性を確保し、自由な学びを保障して本学の「自学自習」を現代にアップデートしていく考えです。さらに、博士課程教育においては、これまでの指導教員個人の裁量に依存した密室状態から脱却し、複数指導体制などを導入することで、博士教育・研究倫理・ガバナンスを組織全体のシステムとして再設計し、「組織的責任」へと転換を図っていきたいと考えています。
- 立川 康人 候補
国際卓越研究大学に認定された場合、各種制度を移行する必要が出て参りますが、大学院生の皆様が経済的な不安を抱えることなく研究に専念できる環境を守ることは、大学全体の発展のために重要なことと認識しています。政府による各種支援制度を最大限活用しつつ、民間企業からの寄附金等を活用した奨学制度を組み合わせて、本学の大学院生の研究環境の拡充に取り組んで参りたいと思います。
質問4の回答:
- 浅野 耕太 候補
TA・RA・OA 等は、教育研究活動を支える重要な制度であると同時に、大学院生等にとっては、経済的支援、教育経験、研究経験、キャリア形成の機会でもあります。そのため、業務内容、勤務時間、報酬、責任の範囲が明確であり、学生自身の学修・研究を損なわない形で運用される必要があります。
国際卓越研究大学の枠組みのもとで財源が変化する場合にも、TA・RA・OA 等の制度が不安定化し、学生の生活や研究継続に悪影響を及ぼすことは避けるべきです。短期的な財源に過度に依存するのではなく、教育研究上必要な業務を安定的に支える仕組みを整えなければなりません。
また、TA ・RA・OA 等は、教育研究の助力者であるとともに、教育研究に直接的に参画する機会として位置づけ、適正な報酬、明確な業務内容、相談窓口、ハラスメント防止、過重労働の防止を含む運用改善を確実に進めるべきです。そのため、学生の生活支援と教育研究上の経験蓄積の双方を保障する制度として、安定的かつ透明な運用を行うことが重要です
- 椹木 哲夫 候補
TA・RA・OA は本学の教育研究を支える不可欠な力であり、その雇用の安定は極めて重要であると認識しています。大学ファンドの運用益変動による財源の不安定化を防ぐため、いくつかの施策に取り組んでいきたいと考えています。まず、国からの助成金だけに依存せず、独自のファンドレイジング等により安定した基金を形成し、その運用益を学生雇用の財源として持続的に還元することで、独自基金による安定財源の確保を図りたい考えです。
- 立川 康人 候補
TA、RA や OA を用いた学生や大学院生の雇用は、本学の教育・研究を進めるために欠かせません。また、これらが大学院生の生活を実質的に支える重要な役割を果たしていることを認識しています。外部資金を含めて複数の財源を組み合わせて管理し、TA、RA や OA 等の雇用が不安定にならないような対策を考えて参りたいと思います

