2026総長選考 候補者への公開質問状の回答

 学内予備投票を経て、意向調査に向けて総長選考・監察会議が次期総長候補として絞り込んだ6名の候補者に対して、職員組合は公開質問状を送り6名全員から回答を得ましたのでここに公開します。ご多忙の中、ご回答いただいた候補者の方々に御礼申し上げますと共に、学内投票権者のみなさんの参考になれば幸いです。(回答の掲載順は氏名の五十音順)

↓ 260608_組合質問状回答一覧表.pdf
https://1drv.ms/b/c/86c8093afbadaf62/IQCooDcrI2X7R4W-iLYo6l3JAbTFBjDuBr9YmGArkAOA3Hk?e=oA3bDv

 質問1:京都大学の存在意義と進むべき方向性について、昨今の政府の科学技術、高等教育政策を踏まえてお考えをお示しください。

〇 質問2:本学研究組織のデパートメント制への改組について、大まかなタイムスケジュールも含めたビジョンをお示しください。

〇 質問3:教育・研究支援組織の人材確保と流出防止について
近年の賃上げ基調の社会情勢もあり、人材確保が難しくなり流出も懸念されます。一方で、デパートメント制への対応などで、大学運営についてより専門性の高い人材が必要とされます。教職員(正規職員・有期雇用の職員・時間給の職員含む)の現在の待遇の妥当性についてのお考えと、あるべき待遇や評価、それを基礎付ける労働契約の在り方についてお考えをお聞かせください。

〇 質問4学生・大学院生の教育環境について
近年、他の国立大学において授業料や留学生学費の値上げが見られました。一方で、公立大学においては住民学生の学費を減免する動きもあります。国際卓越大学に指定された大学の学生にはSpringが適用されなくなると言われています。こうした状況も踏まえ学生・大学院生の教育環境の拡充についてお考えをお聞かせください。

〇 質問5軍事研究について
「京都大学における軍事研究に関する基本方針」(2018年3月28日制定)では、「本学における研究活動は、社会の安寧と人類の幸福、平和へ貢献することを目的とするものであり、それらを脅かすことに繋がる軍事研究は、これを行わないこととします。」と定めています。この基本方針を維持すべきとお考えですか?

〇 質問6京都大学の研究活動の社会的責任について
近年、琉球遺骨問題・アイヌ遺骨問題など、大学が過去に行った研究活動の適否について司法判断が下され、他の国立大学ではこれに応じる動きもみられます。こうした情勢を踏まえ、京都大学の過去の研究活動と将来の研究活動について社会的責任の在り方についてお考えをお示しください。

〇 質問7吉田寮について
吉田寮裁判の京都地裁判決は大学と寮自治会との間の「確約書」の法的拘束力を認め、「平成24年……9月18日付け確約書では、副学長により、本件建物を補修することが有効な手段であることが認められており、平成24年の報告書も取壊しを前提として耐震診断がされたとは認められない」と明言しました。これを受けて昨年8月に成立した和解条項も、大学は学生らの「建物明渡し後、速やかに耐震工事に着手し」、「京都大学ホームページにおいて、可能な範囲で工事計画を公表」するとしています。しかし、京大法人は補修計画を公表せず、4月14日に「現棟を建て替え」、「創出されるキャンパス空間は、全学生の共有財産として……活用する」方針を発表しました。確約書および和解に法的拘束力があることとの関係をどのように考えますか。

 

質問項目ごとの各候補者の回答

質問1の回答:

  • 浅野 耕太 候補

 京都大学の存在意義は、自由な研究環境のもとで、多様な学問が長期的視野から発展し、社会に新しい知をもたらすことにある。政府の科学技術政策・高等教育政策に対応する必要はあるかもしれないが、大学は単なる政策実行機関ではない。政策的要請を受け止めつつも、学問の自律性、基礎研究の厚み、人文学・社会科学・自然科学の相互作用を損なわないことが、京都大学の進むべき方向である。
 国際卓越研究大学の枠組みについても、研究力強化の機会として活用すべきである一方、それが学内の多様な研究領域を狭めたり、短期的成果のみを過度に重視したりすることがあってはならない。京都大学の強みは、すぐには成果が見えない研究を含め、多様な知が共存する豊かな生態系にある。その生態系を守りながら、国際的な研究力を高めていくことが必要である。

  • 江上 雅彦 候補

 国際卓越研究大学構想を踏まえた本学の今後の進むべき方向性については所信表明書および総長選考‧監察会議による面接動画をご参照いただければと思います。

  • 椹木 哲夫 候補

 政府の「国際卓越研究大学」構想をはじめとする政策要請に対し、本学は単に「効率的に適合」するのではなく、自律的に新しい価値を生み出し「自己超越」を遂げる強靭な組織へと進化しなければなりません。
 これからの方向性として、組織を上から「管理・統治すべき制度」と捉えるのではなく、多様な要素が相互に影響し進化していく「生態系(自律分散エコシステム)」として育て上げます。 具体的には、社会要請に応える「合理的な経営努力(直進的なベクトル)」と、自由の学風をアップデートして「異質性がぶつかり合う自由な環境(創発的なベクトル)」を意図的に組み込むという、性質の異なる2本のベクトルをスパイラルに回すマネジメントを実行します。これにより、自然界の普遍的原理を組織論へと応用し、知的刺激に満ちた活気ある研究環境を創発します。

  • 田尾 龍太郎 候補

 「自由の学風」という基本理念を大前提として,国際卓越研究大学認定や国の政策を踏まえ,多様性の維持と重点領域への戦略的投資を両立し,教職員が一体となり,世界を先導する研究大学へと進むべきと考えています.

  • 立川 康人 候補

 京都大学の基本理念のもと、学問の自由と多様性を大切にし、独創的な研究業績を収めて社会課題の解決に貢献し、それによって優秀な研究者や学生、資金が本学に集まり、さらに新たな知が生み出され、人が生み出される、この好循環を世界的に発展させることが京都大学のありたい姿(ビジョン)であると考えます。国際卓越研究大学構想は、このビジョンを財政面から支え、次世代の研究環境を飛躍的に向上させるためのまたとない機会だと思います。第7期科学技術‧イノベーション基本計画で掲げられている施策を踏まえつつ京大の自律性と独自性を貫き、現場の教職員が今まで以上に研究‧教育に専念できる環境を構築できるような京都大学ならではの改革を進めて参りたいと思います。

  • 波多野 悦朗 候補

 現在、我が国は低成長と少子化という構造的課題に直面し大学を取り巻く環境も大きく変化しています。現在の政府の科学技術‧高等教育政策が「世界トップレベル研究大学の育成」と「研究成果の社会実装」を強く求めており、大学ファンドや国際卓越研究大学制度はその象徴であり、研究力、国際競争力、産学連携、財務基盤強化が政策の中心に置かれています。本学もまた従来の延長線上にとどまらない変革が求められています。この「スローダウン」の現実を直視しつつも、本学の本質的価値である自由と多様性を損なうことなく、いかに次の時代を切り拓くかが問われています。京都大学が「質と独自性」において世界と競い続ける大学として発展することを目指す、その中核として、国際卓越研究大学の認定および研究体制強化計画の実現に取り組む必要があり、その推進にあたっては、部局の自律性と全学の戦略性との調和を重視し、丁寧な対話と合意形成を基盤とする大学運営を行う必要があると考えられます。

質問2の回答:

  • 浅野 耕太 候補

 デパートメント制は、京都大学の研究組織のあり方を大きく変える可能性をもつ制度であり、大きな利点もありながら、数多くの懸念も今のところぬぐい切れていない試みである。今後の制度設計にあたっては、研究力強化という目的だけではなく、教育組織との関係、学位プログラムとの関係、教員人事、若手研究者のキャリア形成、事務職員・技術職員・研究支援人材の業務負担、部局自治との関係を丁寧に検討する必要がある。
 大まかな方向としては、まず現行組織の課題とデパートメント制導入の目的を明確化し、次に複数のモデルを提示したうえで、部局・教職員・学生との対話を行うべきである。その後、試行的・段階的な導入を行い、教育研究上の影響、労働条件への影響、管理運営上の負担を検証する必要がある。最初から一律の完成形を目指すのではなく、これまでの部局自治の歴史や各部局に蓄積されてきた教育研究上の特色を尊重し、京都大学の多様性を前提とした制度設計を行うことが不可欠である。

  • 江上 雅彦 候補

 デパートメント制への改組に関しての基本的な考えは所信表明書および総長選考‧監察会議による面接動画をご参照いただければと思います。

  • 椹木 哲夫 候補

 私が目指すデパートメント制への改組は、管理強化ではなく「自由の学風」をアップデートし、部局の壁を越えて自由な対話が生まれる「国際的な知の拠点」へと環境を再設計するものです。この改組にあたっては、現場の混乱を避け、確実なソフトランディングを図るために段階的な移行を進めます。まず、2028年度までに全デパートメントの設置という組織構造の断行を強い意志をもって完了させます。そのうえで、移行の第1段階となる当初3年間は、箱としての新しい組織を迅速に設置しつつも現行組織に権限を残すことで、安定性を担保しながら順次新たな組織へと権限を移行させます。そして第2段階となる4年目以降は、グラジュエート・ディビジョンへの移行を含む教育体制の整備を並行して進めながら権限関係や教育負担を再定義し、10年後を目途に強靭な運営体制を完成させる計画です。

  • 田尾 龍太郎 候補

 国際卓越研究大学に認定された場合には,構想の早期実現が求められます.そのため,当初想定されていた3年後を待つことなく,準備の整ったデパートメントから順次移行すべきと考えていますが,その際拙速に陥らないよう,学内リソースの配分にあたって過度に先行有利とはせず,デパートメントと教育組織や,研究所センター等との権限を整理し,また執行部と学系,部局と十分な対話を前提としたいと考えています.特に教育課程や教育組織‧体制への影響を十分に考慮し,研究とあわせて次代を担う優れた人材の育成を前提としたデパートメントの構築に努めたいと考えています.

  • 立川 康人 候補

 デパートメント制への移行は、本学の未来を拓くためのこれまでにない大学改革となります。これを実現するためには、教育組織(大学院‧学部等)や研究所‧センター、そして新設されるデパートメントのすべてが強みを最大限に発揮できるように、資源や権限のあり方を議論し、再定義する必要があると考えます。これらを規定する実施計画は、学内のあらゆる関係者と議論して半年を目途に策定し、全学的な合意を得たいと考えます。その後、現場の課題を一緒に考え信頼関係を築きながら、2年を目途に全学でデパートメントシステムへの移行を実現したいと考えます。

  • 波多野 悦朗 候補

 単なる組織再編ではなく「学部‧研究科中心大学から、学問分野中心大学への転換」として位置づけるべきだと思います。
 本学を最終的には、デパートメント‧学位プログラム‧戦略研究ハブの3つで構造されるものとする。デパートメントにおいては、人事、研究スペース、教員採用は原則としてデパートメントが担う。学位プログラムにおいては、複数デパートメントの教員が教育を担う。学生は学位プログラムに所属する。戦略研究ハブは、学内横断的に、競争的資金や大学ファンド資金を重点投入する。
タイムスケジュールとして
フェーズ1(2026-2028)では、主にモデルデパートメント設計、人事制度を検討し、「将来像の合意形成」を目標とし、拙速な組織改変は行わない。
フェーズ2(2028-2031)では、例えばDepartment of Medical Scienceを試験運用し、人事、研究スペース管理を一元化することにより、制度上の課題を抽出する。
フェーズ3(2031-2035)では、デパートメント化に完全移行し、教員所属、予算配分、人事権を順次移管する。

 質問3の回答:

  • 浅野 耕太 候補

 京都大学の教育研究は、教員だけでなく、正規職員、有期雇用職員、時間給職員、技術職員、URA、図書系・情報系・研究支援系の職員など、多様な人材によって支えられている。近年の物価上昇・賃上げ基調の中で、現在の待遇を見直す必要がある。
 人材確保と流出防止のためには、処遇改善、安定的雇用、専門性に応じた評価、キャリアパスの明確化が必要である。特にデパートメント制のような大きな組織改革を進める場合、運営を担う職員・支援人材に過度な負担が集中しないよう、制度設計の段階から人員配置と労働条件を検討し、具体的かつ詳細な移行計画を準備しておく必要がある。
 また、大学運営の能力は短期的な雇用で容易に蓄積されるものではない。継続的かつ計画的に大学を支える人材を育成し、適切に評価し、安心して働き続けられる労働環境を整えることが、京都大学の研究力・教育力の基盤である。

  • 江上 雅彦 候補

 本学の人事戦略についての基本的な考えは所信表明書および総長選考‧監察会議による面接動画をご参照いただければと思います。なおそこで私が言及している「総合職」は、特定の職種を指しているものではなく、(研究者、専門職を除いた)広く事務系の職員を指しています。

  • 椹木 哲夫 候補

 中堅事務職員の離職急増は「組織の構造的な必然」であり、極めて深刻な事態です。現場を支える教職員の「経験知」は外部の専門家には代替できない本学の重要資産であり、人材流出を防ぎ、その価値を正当に評価するため、いくつかの施策に取り組みます。 具体的には、まずゼネラリストとスペシャリストの「複線型キャリアパス」を導入し、専門職人材との役割や評価軸を整理して、将来のキャリアの見通しを明確にします。次に、「教職協働」による事務職員への過重な負担転嫁を防ぐため、指揮命令系統を整理し、業務を他部署に回すのではなく「業務総量そのもの」を厳格に管理します。さらに、権威勾配を恐れずに誰もが対等かつ安全に懸念を表明し、議論できる労働環境のインフラを整備し、「心理的安全性」を基盤とした組織文化を構築することで、「言っても変わらない」という諦めの文化を払拭します。

  • 田尾 龍太郎 候補

 「人への投資」を戦略的に加速し,URAや技術職員等を含む高度専門人材のキャリアパス確立と処遇改善を進め,各々の専門性を尊重し、全教職員が誇りを持って主体的に参画できる環境と体制を構築します.
 また評価システムの再考により,だれもが明るい京都大学の未来を思い描いて,生き生きと勤務できる環境を構築したいと思います.

  • 立川 康人 候補

 国際卓越研究大学構想の実現は、教員だけでなくすべての職員の皆様にとっても重要な契機となります。大学の運営‧経営や管理‧支援に関する複雑で高度な業務において、今まで以上に多くの方々の活躍が必要となります。これは京都⼤学がより一層魅力ある働き甲斐のある職場となるチャンスでもあると考えます。一方で、昨今の物価高や民間‧他大学の賃上げ動向を踏まえると、現在の処遇は十分ではないこと、人材流出への危機感があることも事実だと思います。そのため、デパートメント制への移行によって業務が高度化するならば、それに伴う専門性に応じた新たな評価‧手当制度やキャリアパス拡大を検討することも重要な課題と認識しています。魅力ある職場環境を構築するために、皆様と共に議論して参りたいと思います。

  • 波多野 悦朗 候補

 京都大学の最大の資産は建物でも設備でもなく「人」です。研究力も教育力も国際競争力も、すべては優れた教職員によって支えられています。私は教員、職員、技術職員、URAを含むすべての構成員を大学経営のパートナーとして位置付け、その専門性にふさわしい処遇と成長機会を確保します。有期雇用への過度な依存から脱却し、能力と実績に基づく公正な評価の下で、安心して挑戦できる雇用環境を整備します。そして、人への投資を大学経営の最優先課題とし、世界最高水準の研究大学を支える人的基盤を築いてまいります。

 質問4の回答:

  • 浅野 耕太 候補

 学生・大学院生は、大学の将来を担う存在である。授業料や留学生学費の値上げが各大学で議論される中、本学としては、従来の路線を踏襲し、経済的理由によって学修・研究の機会が狭められないよう、慎重な対応が必要である。
 教育環境の拡充には、授業料の問題だけでなく、奨学金、授業料免除、博士課程学生への生活支援、研究費支援、TA・RA 制度、住環境、メンタルヘルス支援、留学生支援を総合的に考える必要がある。国際卓越研究大学の枠組みの中で博士課程学生支援制度に変更が生じる場合には、既存の支援が途切れないよう、大学として責任ある移行措置を講じる必要がある。
 いうまでもないことであるが本学が国際的な研究大学であり続けるためには、学問に集中できる環境を整えることが不可欠である。

  • 江上 雅彦 候補

 教育環境についての基本的な考えは所信表明書および総長選考‧監察会議による面接動画をご参照いただければと思います。具体的な施策については順次詰めていく所存です。

  • 椹木 哲夫 候補

 学生・大学院生を取り巻く経済的・制度的な環境が厳しさを増す中、本学独自の教育環境の拡充と、次代の人材を持続的に育成していくことは必須と考えています。ここでは大学院教育に限定して回答します。まず、国からの支援にのみ依存するのではなく、ファンドレイジングを強化して独自の基金を形成し、その運用益を大学院生や若手研究者の支援に直接還元する仕組みを確立することで、資金と価値の好循環による独自の経済的支援を実現したいと考えています。次に、デパートメント群の現場との協議により、「グラジュエート・ディビジョン」の導入によって大学院教育を一元管理し、特定の教員による囲い込みを防ぐことで、学生が学部の壁を超えて最適な指導者と環境を自由に選択できる流動性を確保し、自由な学びを保障して本学の「自学自習」を現代にアップデートしていく考えです。さらに、博士課程教育においては、これまでの指導教員個人の裁量に依存した密室状態から脱却し、複数指導体制などを導入することで、博士教育・研究倫理・ガバナンスを組織全体のシステムとして再設計し、「組織的責任」へと転換を図っていきたいと考えています。

  • 田尾 龍太郎 候補

 国際卓越研究大学に認定され,研究等体制強化計画の開始以降は,次世代研究者挑戦的研究プログラムからの支援は行わないとされていますが,一方で,国際卓越研究大学には法令の上でも優秀な若年の研究者の育成及び活躍の推進に資する活動が規定され,助成金執行にあたっては,博士課程学生への経済支援や処遇改善があげられております.本学の構想,計画にのっとり適切に経済支援を行うとともに,世界に伍する研究大学にふさわしいRA等の処遇を用意すべきと考えております.

  • 立川 康人 候補

 経済的な理由によって、意欲ある優秀な学生が学業や研究をあきらめてしまうようなことは、あってはならないと考えます。国からの奨学金制度、企業からの寄附金等を活用した奨学制度に加えて、TAやRA雇用の機会向上など、学生や大学院生が安心して学業や研究に打ち込めるように取り組んで参ります。

  • 波多野 悦朗 候補

  京都大学において、経済的事情が学ぶ機会や研究への挑戦を妨げることがあってはなりません。私は授業料政策を財政問題としてのみ捉えるのではなく、教育機会の公平性と大学の国際競争力の観点から検討します。特に博士課程学生を将来の研究を担う若手研究者と位置付け、生活支援‧研究支援‧国際経験支援を一層充実させます。

質問5の回答:

  • 浅野 耕太 候補

 「京都大学における軍事研究に関する基本方針」は維持すべきであると考える。京都大学の研究活動は、社会の安寧、人類の幸福、平和への貢献を目的とするものであり、それらを脅かすことに繋がる研究については、慎重かつ厳格に判断されなければならない。
 一方で、現代の科学技術にはデュアルユースの問題があり、軍事・民生の境界が明瞭ではない場合もある。したがって、基本方針を維持したうえで、個別案件については、研究者個人に判断を丸投げするのではなく、多様な視点を取り入れた透明性のある審査体制を整え、大学全体で責任をもって適正化を図る仕組みを作ることが重要である。大学としての理念と現実の研究環境に即した判断手続きの両方が必要である。

  • 江上 雅彦 候補

 大学を取り巻く状況も変化しており全学で慎重に議論する必要はありますが、その際には本学の基本理念のひとつである「地球社会の調和ある共存に貢献するため」を尊重いたします。

  • 椹木 哲夫 候補

 「軍事研究は行わない」という本学の基本方針を堅持し、軍民両用技術等に対する透明性の高い技術的・倫理的な審査を厳格に行っていきたいと考えています。その上で、複雑なリスク環境下でもこの方針を実効性のあるものとするため、新しいガバナンス体制を構築していく考えです。一つは、研究の入り口での規制にとどまらず、開発の中間段階で倫理的・社会的考慮を統合し、研究の自由と負の影響の回避を高い次元で両立させていきたいと考えています。つぎに、複雑な安全保障やデュー・デリジェンス等の調整業務を現場の研究者や部局に押し付けず、大学本部が集中的に担うことで、現場における研究者が安心して自由に研究に没頭できる環境を提供していきたいと考えています。

  • 田尾 龍太郎 候補

 本学の基本方針は維持すべきと考えます.

  • 立川 康人 候補

 軍事利用を目的とする研究に京都大学の研究者が従事すべきでないという方針は、今後も維持すべきと考えます。最先端技術の開発には常に軍事転用のリスクが伴うからこそ、その可能性を事前に精査する本学の確認の仕組みは、これからも変わらず維持し適切に機能させる必要があると考えます。

  • 波多野 悦朗 候補

 京都大学は、学問の自由と人類社会への貢献を理念としてきました。私は2018年に定められた軍事研究に関する基本方針の精神は維持すべきと考えています。研究活動は平和と⼈類の幸福に資するものでなればなりません。一方で、科学技術と安全保障を巡る環境は大きく変化しており、デュアルユース技術の広がりなど新たな課題も生じています。そのため、基本方針の理念を堅持しつつ、学内で開かれた議論を継続し、研究の自由‧公開性‧自律性を守る観点から適切な運用を不断に検証してまいります。 

質問6の回答:

  • 浅野 耕太 候補

 大学の研究活動は、過去・現在・未来に対して社会的責任を負う。過去の研究活動について、今日の倫理的観点から問題が指摘される場合、大学は防御的に対応するだけでなく、資料の調査、事実関係の確認、当事者・関係者との対話、必要に応じた返還・謝罪・説明を誠実に行うべきである。同時に、将来の研究活動については、研究倫理、インフォームド・コンセント、データ管理、文化的・歴史的背景への配慮、地域社会との関係を重視する必要がある。研究の自由は重要であるが、それは社会的責任と切り離された自由ではない。京都大学は、学問の自律性を守るためにも、自らの研究活動に対する説明責任を果たすように努めるべきである。

  • 江上 雅彦 候補

 過去の学術研究のあり方を省み、現代における人権上の要請を真摯に受け止め、向き合っていくことは、大学の信頼を維持向上させるための極めて重要な課題であると認識しております。

  • 椹木 哲夫 候補

 大学における過去の研究活動が、現代の人権意識や倫理規範に照らして深刻な批判を受け、司法判断が下されている昨今の情勢について、真摯に受け止めています。京都大学が社会からの信頼を維持し、「国際的な知の拠点」であり続けるためには、過去の研究の負の側面から目を背けることなく、未来に向けた高度な研究倫理をシステムとして組織に組み込んでいきたいと考えています。これらの社会的責任を果たすため、総長直轄のリスクコンプライアンス体制の構築を目指し、現場の研究者が複雑な倫理的ジレンマやリスクに直面した際、個人や部局の責任として孤立させるのではなく、専門スタッフや大学本部が集中的にリスク調整を担えるような体制を整備していきたいと考えています。

  • 田尾 龍太郎 候補

 過去の研究活動に係る対応は,国や司法の判断に従うべきものと考えます.一方未来に向けては,引き続き高い倫理性および自己規律を保持していくことを徹底していくべきと考えております.

  • 立川 康人 候補

 本学が定める「京都大学における人骨資料の返還手続に関するガイドライン」に基づき、本学が保管している人骨資料の返還または移管協議の実施など適切に手続きを進めて参りたいと考えています。

  • 波多野 悦朗 候補

 京都大学は、学問の自由を尊重する研究大学であると同時に、高い公共性を有する社会的機関でもあります。過去の研究活動について社会的な問いが提起された場合には、歴史的経緯を含めて誠実に検証し、透明性をもって説明責任を果たすべきであると考えます。その際、関係するコミュニティとの対話を重視し、必要な対応を真摯に進めます。 

質問7の回答:

  • 浅野 耕太 候補

 吉田寮をめぐる問題については、学生の安全確保、学生自治、歴史的経緯、確約書、裁判上の和解、施設管理責任など、複数の重要な論点が関係していると認識している。
 確約書および和解条項の法的意味、ならびにその後に示された方針との関係については、関係資料、裁判上の経緯、大学としての施設管理責任等を踏まえて慎重に確認されるべき事項であり、この場で個別の法的評価を断定することは差し控えたい。
 そのうえで、一般論として、大学は学生の安全を確保する責任を負うと同時に、過去の合意や裁判上の経緯を軽視することなく、関係者に対して可能な範囲で丁寧な説明を行い、信頼の回復に努める必要があると考える。
 吉田寮問題は、単なる施設管理の問題にとどまらず、京都大学が学生との対話、自治の歴史、安全確保、法的手続き、説明責任をどのように調和させるかという難しい問題に取り組んでいるとも社会からは捉えられている。今後の対応にあたっては、関係する事実関係と法的整理を慎重に確認し、大学として説明可能な手続きに基づいて判断していくことが重要である。

  • 江上 雅彦 候補

 4月14日の基本方針は、和解条項にある「耐震工事(建替工事を含む)」という双方が合意した枠組みに沿った考えを述べており、「建築物としての歴史的経緯に配慮しつつ」ともあります。また建て替えによる創出スペースの活用方針は、数十年前に比べて学生数(特に大学院生や留学生)の増加によって吉田キャンパスが相当狭隘化し学生諸君の学習‧生活環境に影響がでているという危機を踏まえ、教育環境の整備という大学に課せられた社会的使命を果たすという趣旨だと考えます。

  • 椹木 哲夫 候補

 吉田寮が長年培ってきた「学生の自治の精神」は尊重したいと考えています。しかし、本学の「自由の学風」は、古い物理的な形式(建物)をそのまま維持することに直結するものではないとも考えています。現代の学生全体の安全やキャンパスの公共性と、寮の自治の精神をいかに両立させ、新しい時代の形へと「変化を伴う継承」を果たしていくかが問われていると認識しています。そのため、法的拘束力を持つ和解条項を誠実に遵守することを前提としつつ、単なる「古い建物の存続か、強制的な建て替えか」というゼロサムの対立を超え、未来の京都大学にふさわしい新しい生活・交流空間を、すべての学生の皆様と共にデザインしていきたいと考えています。

  • 田尾 龍太郎 候補

 経緯の詳細までは承知していないが,福利厚生や教育効果がより幅広い学生に行き渡る方針であれば,問題ないのではないかと考えます.

  • 立川 康人 候補

 本学の方針に従って慎重に検討を続ける必要があると考えます。具体的な内容については回答を差し控えさせていただきますことをお許しください。

  • 波多野 悦朗 候補

 吉田寮問題については、個別の法的評価をここで申し上げる立場にはありません。しかし、京都大学は裁判所の判断や成立した和解を真摯に尊重しなければならないと考えます。同時に、学生の安全確保と将来のキャンパス整備も大学の重要な責務です。したがって、大学としてどのような方針を採るにせよ、その方針が確約書や和解条項とどのように整合するのかを明確に説明し、学生や社会に対して十分な透明性をもって対応することが不可欠です。私は、法的責任と説明責任の双方を重視し、対話を通じて信頼を回復する姿勢が大学運営には求められると考えています。

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