団体交渉を申し入れました
職員組合は2022年4月4日付けで、下記、要求事項にかかる団体交渉を申し入れました。交渉日が固まり次第、組合員のみなさまにご案内いたします。
★220404_団体交渉申入書.pdf
https://1drv.ms/b/s!AmKvrfs6CciGjJ18TTBscnhn7nuEAQ?e=ewe6Mg
(下記、要求書・要求趣旨のテキストです。)
2022年4月4日
京都大学総長 湊 長博 殿
京都大学職員組合
中央執行委員長 大河内 泰樹
団体交渉申入
団体交渉の方式及び手続に関する労働協約第5条に基づき、下記の要求事項にかかる団体交渉を申し入れます。早急にご準備いただきますよう、お願いいたします。また、交渉日までに文書による一次回答をご提示いただきますよう要請いたしますとともに、本件交渉終了後には双方の公印が押印される交渉記録の作成を求めます。
要求事項
1 [継続案件]技術職員の昇任・昇格を事務職員・図書館職員並に改善すること。
2 [継続案件]保健診療所の診療を継続すること。
3 時間雇用教職員の待遇改善と支援職員にかかる要求
3.4 [継続案件] 3.3を含む本部からの経費補助は恒久的措置とすること。
3.6 [追加案件] 時間雇用教職員(従来制度)と支援職員を共通した基準による評価制度を導入し、時間雇用教職員(従来制度)の支援職員への登用を進めること。
3.7 [追加案件] 時間雇用教職員(従来制度)で採用されている者については、2022年10月以降も例外措置の適用を可能とすること。
4 総合生存学館にかかる要求
4.1 総合生存学館の事業遂行につき同館執行部教職員が所轄官庁である文部科学省と連絡をとることを違法に妨害している総長およびプロボストの加害行為をやめること。
4.2 総合生存学館は教育・研究に成果を上げ社会から発展が期待されているにもかかわ らず、これを改悪し、かつ、その設置認可内容に反する改変を、所属教職員が含まれない特別委員会で決定・強行し人事・教育・研究の権利をはく奪するのをやめること。
以上
2022年4月4日申し入れの団体交渉要求の趣旨
1 [継続案件]技術職員の昇任・昇格を事務職員・図書館職員並に改善すること。
前回の団体交渉における回答は、もっぱら経緯と現状の説明に終始していたが、職員組合がまず求めているのは、これまでの不作為による教室系技術職員と事務職員・図書館職員との昇任・昇格の格差の回復である。
前回の団体交渉でも教室系技術職員と事務職員・図書館職員を一概に比較できない旨の回答であったが、これは2016年の団体交渉と同じ内容である。教室系技術職員と事務職員・図書館職員の職務が異なるのは自明のことである。しかし、同じ一般職俸給表が適用され、教室系技術職員の集団が、その他の職種の集団より昇任・昇格が遅れているのであれば、合理的な説明が必要である。一概に比較できないのであれば、詳細な分析をして説明して然るべきであるが、6年も費やして「一概に比較できない」「現状が良いとは思っていない」とする曖昧模糊とした回答を繰り返すことは、人事労務の懈怠か職員組合を愚弄しているか、あるいはその両方である。
本学の研究力向上のため、教室系技術職員による研究支援体制の拡充や整備を検討することは結構であるが、検討途上であることが、教室系技術職員と事務職員・図書館職員との昇任・昇格格差を肯定する理由にはなり得ない。先ずは、現にある格差の是正を求める。
将来的な格差是正のための方策についても、2021年2月10日の団体交渉で、技術職員の組織化と勤務評定制度の検討状況について回答され、勤務評定制度の試行を行っているとのことであったが、2021年度に入っても全く進展は見られず、2021年12月9日の団体交渉では、その試行状況も把握されていないようであった。速やかに勤務評定の試行結果について総括をし、新制度を実施するべきである。
2 [継続案件]保健診療所の診療を継続すること。
前回の交渉では、学生に対するメンタルヘルス対応体制について述べられたが、教職員については、保健診療所で医療が受けられなくなる不利益だけで、何ら代替の措置が講じられていない。保健診療所での診療を終了する理由の一つとして、(教職員の)利用が少ないことも挙げられていたが、そもそも教職員が保健診療所で診療を受けることができることが十分に周知されていなかった。周知されていないものを利用されていなかったと評価し、サービスを閉じることは妥当性に欠く。
また、近年ようやく、時間雇用教職員などに有給の病気休暇が付与されることとなった。依然として、常勤職員より付与される病気休暇が少ない時間雇用教職員などにとって、小さい時間単位で取得できる病気休暇を取得するにあたり、学内の保健診療所を利用できるメリットは大きい。ようやく学内診療を有効に利用できる環境が整った矢先に、診療を終了させることは、不合理であり、一方的な不利益変更である。
3 時間雇用教職員の待遇改善と支援職員にかかる要求
3.4 [継続案件]3.3を含む本部からの経費補助は恒久的措置とすること。
前回の団交でも組合側から主張したように、本部からの経費補助を第6期中期目標中期計画期間中に限っていることによって、各部局は本制度の利用に二の足を踏むことになりかねない。本制度は、労働者から見て多くの利点もあると考えるが、その利点も実際に利用されなければ意味がないどころか、時間雇用の事務補佐員が1年任期に限定されることから、待遇の悪化や派遣労働者へのさらなる依存も進むことが危惧される。前回の団体交渉では理事より「受益者負担」との発言があったが、各部局の研究サポート体制が充実することによる受益者とは誰よりも大学であり、さらにはその研究の恩恵を受ける社会である。全学の体制に責任を持つ理事よりこのような発言があったことは大変遺憾であり、大学の社会的使命に立ち返って、今一度本制度の趣旨を最大限生かせるように、経費補助の恒久化を求める。
3.6 [追加案件] 時間雇用教職員(従来制度)と支援職員を共通した基準による評価制度を導入し、時間雇用教職員(従来制度)の支援職員への登用を進めること。
この4月から事務職員(特定業務)は、新設される支援職員に移行されることとなった。事務職員(特定業務)から移行する支援職員は、今後予定されている新規採用の支援職員より、高い格付けからの俸給からスタートすることになる。このこと自体は、事務職員(特定業務)の待遇改善であるから歓迎するものである。
一方、事務職員(特定業務)に採用されていなかった時間雇用教職員(従前制度)の方々は、事務職員(特定業務)となった方より職務能力が劣っているため、時間雇用教職員(従前制度)にとどまっているのかといえば、必ずしもそうではない。事務職員(特定業務)となった方と比べても、勝るとも劣らない、いや、それ以上の職務能力を有し、常勤職員並の働きをしながらも、担っている業務や部門での事務職員(特定業務)の募集がなかったため、時間雇用教職員(従前制度)に留まらざるを得ない状況に置かれてきた方は少なくない。また、事務職員(特定業務)はフルタイムの雇用しかなかったため、優秀な方であってもワーク・ライフバランスの事情から事務職員(特定業務)に応募できなかった方もいる。
今般導入される支援職員は、フルタイムの他にパートタイムでの勤務も認められているため、上記の問題の解消を期待できる。ただ、これまで示されてきた制度設計を見ると、支援職員の採用は部局の財務事情に依るところが大きい。たとえ優秀な時間雇用教職員(従来制度)がいて、その方が支援職員への移行を希望しても、部局の財務事情により叶わない事例が頻発することが予想される。
同一労働・同一賃金とは、少なくとも同じ事業体の中で、労働価値と賃金水準を均衡させることを指向するものであり、事業体内の部分事情により、高いパフォーマンスの労働を提供する者が然るべき賃金を得られないことはあってはならない。支援職員として採用するに値する能力のある人は、部局の事情にかかわらず採用されるべきである。
そこでこの要求で提案することは、時間雇用教職員と支援職員共通の評価基準の策定と、その基準に沿った評価と、支援職員への採用である。時間雇用教職員に求められる以上の業務を遂行している方は、それを日常的な評価記録として残し、支援職員への採用における重要な考査要素として用い、支援職員採用後の給与格付けにも反映すべきであると考える。
3.7 [追加案件]時間雇用教職員(従来制度)で採用されている者については、2022年10月以降も例外措置の適用を可能とすること。
前項で述べているように、今般導入される支援職員制度は、部局の財務事情に依るところが大きく、部局が優秀な時間雇用教職員(従前制度)を支援職員に採用したいと考えても、部局の財務事情から断念せざる得ない状況も想定される。一方、時間雇用教職員(従前制度)から支援職員を採用する場合、職場内教職員の年齢構成などにより、すぐに支援職員に採用することができなくとも、段階的・計画的な採用ならできるケースも考えられる。しかし、現在示されている制度設計では、2022年10月以降は5年を越えて継続雇用する例外措置は打ち切られることになっている。優秀な人材を確保する観点からも、少なくとも従前制度で採用された時間雇用教職員については、2022年10月以降も例外措置の適用を認めるべきである。
4 総合生存学館にかかる要求
(被害者保護のため一部の内容を非公開にしています。)
理事・副学長(プロボスト)は総合生存学館所属教職員に対して、その職務上の当然の権利を妨害している。
妨害の背景として、総合生存学館を設置認可内容と全く異なる形態にし、所属教職員の人事・教育・研究の権利をはく奪する変更を、それら教職員の意見を無視して強行しようとしていることがある。このような措置は、大学設置審査制度にも反し、許されない。
また、全学的に若手・女性教員の割合を上げるために採用に制限がかけられている状況で、総合生存学館において部局長経験者などの年長者のポストを大量に増やそうとしている。これは、全学の方針にも社会的要請にも反する。